第16話

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2019/09/23 10:21
おそ松
おそ松
一松ってホント頭いいな!
一松
一松
そう……かな?
今は、下校中。


おそ松兄さんは帰宅部部長(自称)だし、僕もまだ部活には入っていない。
おそ松
おそ松
だって、カッパに当たったってことは、授業集中してなかったってことだろ?ま、俺もだけど。なのに、難しい問題で正解。すげえよ!
一松
一松
そうかな?
おそ松
おそ松
そうだよ!だから、宿題教えて!
おそ松兄さんが手を合わせる。
一松
一松
それは解き方を、だよね?
おそ松
おそ松
答えは?
一松
一松
ダメ
そんなの、自分の身にならない。
おそ松
おそ松
一松は真面目だな!チョロちゃんみてえ
一松
一松
チョロ松兄さん?
おそ松
おそ松
学年トップ
一松
一松
うわぁ……すごい……
そんな事を駄弁っていたから、角から出てきた人に気づかなかった。
ドンッ
一松
一松
あ、すみません
???
あっれぇー?もしかして一松?
一松
一松
この声は……前の学校の……。


僕を……いじめていた奴……。


体が固まる。


なんで……?


なんでこんなとこに……?
おそ松
おそ松
一松……どうした?知り合い?
一松
一松
……っ
言葉が……出ない……!
前の学校の男子
あれ?オニーサン、誰?
前の学校の男子
一松と同じ顔じゃん
おそ松
おそ松
俺は、一松の兄だ。お前らこそ誰だ
前の学校の男子
俺らはねぇー、前の学校で一松と友達だったんだよォー
前の学校の男子
一松が転校しちゃって淋しかったからね
おそ松
おそ松
へぇー。なんでここにいんの?
淋しかった、というのは、「オモチャ」がいなくなってだろう。


動け!


動けよ俺!


ここから、早く逃げ出さないと……!
前の学校の男子
修学旅行を利用して、会いに来たんだよ
前の学校は、三年は受験生だからと、二年が修学旅行に行くんだ。


旅行先は、東京。


でも、ここは範囲じゃないはず……。


あ、そうだ。


こいつら、抜け出したんだ。


前の学校は男子校。


先生にバレなければ抜け出すことなんて簡単なんだ。


ここが分かったのも、僕が転校するってみんなに伝えた時、先生は東京の赤塚まで言っていたから……。
おそ松
おそ松
じゃ、いちまっちゃんになんか用なの?
前の学校の男子
そうなんだよねぇ、あるんだよねぇ、だからさ、ちょっと、こっち来てくんない?
ドガッ!
いつの間にか後ろに周っていた奴から、背中を思いっきり蹴られる。
一松
一松
うわ!
そいつらがさっき出てきた、路地裏に思いっきり入る。


僕は勢いで倒れてしまった。
おそ松
おそ松
一松!てめぇら、なんてことすんだ!
前の学校の男子
オニーサンも一緒に遊んでやろう!
ドガッ!
一松
一松
おそ松兄さん!
おそ松兄さんも同じ様に蹴られた!


僕の横に倒れる!
前の学校の男子
お前はちょっと黙ってろよ!
ガスッ!
一松
一松
うっ!
腹を蹴られた。


ダメだ。


もう起き上がれない。
前の学校の男子
やっぱ、一松は弱いなぁ!
前の学校の男子
いるとつまらんし、いないはいないで面白くないんだよなぁ!
前の学校の男子
オニーサンの方も弱かったしねぇ!
そして、ガハハハッ!と下品に笑う。
おそ松
おそ松
お前ら、調子にノリやがって……
一松
一松
おそ松兄さんは起き上がる。


僕は、力を込めるとお腹が痛くなって無理だ。
前の学校の男子
何?オニーサン
前の学校の男子
まだやんのかなぁ?
ガスッ!
一松
一松
わっ!
その音に、僕は思わず目を瞑る。


きっと、おそ松兄さんが殴られたんだ!
前の学校の男子
ってぇー!
……あれ?


この声……。


ということは、殴ったのはおそ松兄さん……?


僕はそっと目を開ける。
前の学校の男子
お前こそ調子のんなよなぁ!
ヤバい!


おそ松兄さんが今度こそ殴られる!


でも……
おそ松
おそ松
こんなひょろひょろの拳で、殴れるとでも?
おそ松兄さんが……拳を手で受け止めたんだ。


そのまま、腕を引いて膝を上げる。


そいつの腹に膝がめり込んだ。
前の学校の男子
うっ……
おそ松兄さんが手を離す。
ドサッ……


そいつが倒れた。
前の学校の男子
なっ……
前の学校の男子
お、お前ら!殺れ!
あ!


残りが総出でおそ松兄さんもに殴りかかった!


相手は五人!


不利だ!


でも……


僕は助けられない……。


力がない……。


今度こそ、絶体絶命!
おそ松
おそ松
へぇー、面白くなってきたじゃん
一松
一松
……
おそ松兄さんは、この状況を……


楽しんでいる……。


おそ松兄さんは飛んできた拳の腕を掴み、背負い投げ!


その勢いで、もう一人を道連れに。


続いて、またも飛んできた拳を屈んでよけ、足をはらう。


そいつが倒れたら、横っ腹に蹴りこむ。


おそ松兄さんに倒されたヤツらは、動かない。


一つ一つの攻撃が、重いんだ。
おそ松
おそ松
お前ら、殴ることしか出来ないの?弱いのはどっちだよ
前の学校の男子
それはどうかなぁ?
グイッ!
一松
一松
わぁっ!
襟を引っ張られた!


くっ、苦しい……!
前の学校の男子
一松がどうなってもいいのかなぁ?
残りの二人が、僕を人質に取ったんだ。


二人に、首を掴まれて持ち上げられている状況。


手には、二人とも、鉄パイプが……。


こいつら、武器を持ったことで強くなったって勘違いしてるんだ。


さっきおそ松兄さんが三人も倒したの見なかったのかな?


って言うか、なんでこういう所に、鉄パイプなんて落ちてるの?


こんな状況にも関わらず、冷静に考えてしまった。
おそ松
おそ松
……どうやったら、一松を離してくれる?
前の学校の男子
んーそうだなぁ
前の学校の男子
俺たちに倍返しされるとか?
前の学校の男子
それいいなぁ!
前の学校の男子
一松もだな!
一松
一松
っ……
首が痛い。


苦しい。


どうにかして抜け出さないと。


でも、どうやって?


僕には力がない。
おそ松
おそ松
それってさぁ、平等になってなくね?俺は一松を離して欲しいのに、その条件だと、一松もやられんじゃん
前の学校の男子
別とどっちでもいいじゃん?どうせ一松はやられるんだからなぁ
おそ松
おそ松
お前らさぁ、さっきまで何見てきたんだよ
前の学校の男子
あ?なんだ?俺らに勝てるとでも?
前の学校の男子
こっちは二人で武器も持ってんだぞ?
おそ松
おそ松
それがどうしたっ
おそ松兄さんがこっちに向かって突進してきた!
前の学校の男子
!?
予想外の動きに、二人は動けないよう。


おそ松兄さんは跳んで、二人を蹴り飛ばす。


僕も首の手が外れた!
一松
一松
うわっ
外れたから、よろめく。


ドサッ
おそ松
おそ松
大丈夫か?
おそ松兄さんが受け止めてくれた。
一松
一松
うん、ありがと
前の学校の男子
──クソっ!
アイツらの声がする。


跳びながらの攻撃だったから、気絶しなかったんだ!
おそ松
おそ松
一松っ!
一松
一松
え?
ガスッ!
頭が勝ち割れるような衝撃と、鈍い音がして、


目の前が真っ白になった。

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