第17話

病院
934
2019/09/28 00:37
一松……大丈夫かなぁ?


俺は、手で猫を作る。


一松……前は猫好きだったなぁ。


今も好きかな?


一松、ほんとに……大丈夫かなぁ?


―――――――――


一松は、アイツらの持っていた鉄パイプに殴られた。


蹴りが甘かったのか、気絶はしていなかったんだ。


俺が気づいた時にはもう遅い。


一松は倒れた。


アイツらのに仕返しするなんて考えてなかった。


一松のことしか頭になかった。


俺は一松を抱き抱えると、直ぐに路地裏から出た。


一松は驚くほど軽かった。


首で持ち上げられたのにも納得が行く。


全力で走った。


公衆電話がある道路まで着くと、「119」で救急車を呼んだ。


しばらくして救急車が来た。


―――――――――


今は病院のベンチ。


一松は検査を受けている。


父さんと母さんには病院側から、弟達には二人から、連絡が行くはずだ。
松代
松代
おそ松!
松蔵
松蔵
一松はどうした!
俺は立ち上がる。
おそ松
おそ松
父さん!母さん!一松は今なんか、検査受けてる
松代
松代
そう……
松蔵
松蔵
おそ松もボロボロじゃないか。何かあったのか?
おそ松
おそ松
……
あんまり、言いたくなかった。


だって、怒られるだろうから。


だから、黙っていた。
松代
松代
おそ松、何とか言いなさい
……ダメだ。


母さんには、かなわない。
おそ松
おそ松
他校の奴らと、喧嘩……した……
松代
松代
ちょっと!そういうのは──
松蔵
松蔵
まあまぁ
父さんがなだめてくれている。


そのうちにまくし立てた。
おそ松
おそ松
一松の前の学校の奴らで、囲まれて、逃げようにも逃げられなかったんだ。一松は何発かやられて、俺は……反撃してたんだけど、一松がパイプで頭やられて、逃げ出した
松蔵
松蔵
……そうか
母さんも、落ち着いたようだ。
松代
松代
おそ松、一旦帰って着替えなさい。鍵は渡しておくわ
おそ松
おそ松
俺は鍵を受け取ると、病院を出た。
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いつもの赤い松のイラストがプリントされたパーカーを着て、病院へ向かう。


ここら辺の大きい病院と言ったら、赤塚病院しかないから、迷わない。


病院に入ると、待合室に弟達の姿が。
チョロ松
チョロ松
おそ松兄さん!
カラ松
カラ松
おそ松!
おそ松
おそ松
わりぃ、母さんから着替えろって、家帰ってた。お前らは?
六つ子
六つ子
直に決まってる!(パーカー松以外
うぉぉ、みんな揃えて……。
おそ松
おそ松
母さん達は?
チョロ松
チョロ松
先生に呼ばれた
十四松
十四松
一松兄さんの病室に言って、って言われたんだけど、どこか分からなくて……
おそ松
おそ松
受付に聞けばいいじゃん
するとみんな、思い出したしたように手を打った。


俺達は受付に病室を聞くと、そこに向かった。


病院の番号は、「401号室」だった。

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