ベンチの下に隠れたおそ松が誰にともなく言った。
山の形をした遊具の中に隠れたトド松が言った。
すかさず、木の後ろに隠れたチョロ松が反応する。
滑り台の裏に隠れたカラ松が言う。
たしかに、カラ松の言う通り、かくれんぼが始まって、二時間弱がだった。
その間、おそ松達は、公園にある水飲み場で水を飲んだり、隠れ場所にいて日差しをしのいだりと、熱中症にならないように過ごしていた。
いままで黙っていた十四松が、木の上で呟いた。
勢い余ったおそ松はベンチに頭をぶつけだ。
そう言うが早いか、十四松は木から飛び降りた。
すると…
ピーポーピーポー
救急車の音がしてくる。
救急車の音は近くなり、そして、遠くなって行った。
寝た体制のままでおそ松が言った。
そう言って十四松は、駆け出した。
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それから小一時間して、
ボロボロな十四松が帰ってきた。
おそ松がベンチの下から這いずり出てくる。
十四松が息も絶え絶えに言う。
十四松の目から、滝のように溢れる涙。
十四松の元におそ松が駆け寄る。
優しく言う兄二人。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!