第23話

終わったんだ
853
2019/10/16 12:23



十四松が、抱きついてきて。
???
つ、――まつ
???
さん!――兄さん!
誰かの、声が聞こえる。


それも、たくさん。


知っている。


懐かしい。


俺は、うっすらと目を開けた。


すると、
一松
一松
みん……な
俺には、みんなが抱きついていた。
トド松
トド松
う……一松……兄さん
チョロ松
チョロ松
もう……!
一松
一松
みんな……どうしたの……?
なんでみんな、泣いてるの?
みんなが顔を上げる。


みんな、顔が涙でぐしゃぐしゃになっていた。


いちばん酷いのは、十四松だ。


父さんと母さんも、ベッドの傍にいる。
チョロ松
チョロ松
お前、なんでずっと寝てるんだよ……!
ずっと?


言われて気づいた。


日付けも書かれたデジタル時計は、俺が最後に見た日から、三日は経っていた。
カラ松
カラ松
心配……したんだぞ……!
心配……。


俺は、信用してなかったのに。
十四松はずっと、泣いたまんま。
おそ松
おそ松
一松、おかえり
おそ松兄さんが、そっと言った。
一松
一松
ただいま、おそ松兄さん、カラ松、チョロ松兄さん、十四松、トド松、父さん、母さん
すると、みんな、ビックリした様子で。
トド松
トド松
今……
チョロ松
チョロ松
兄さんって……
え?


そういえば。
カラ松
カラ松
俺は呼ばれてないが――
十四松
十四松
一松兄さん!
この言葉に、他のみんなはビックリした様子で。
十四松
十四松
記憶
一松
一松
十四松
十四松
一松兄さん、戻ったんでしょ?
おそ松
おそ松
戻ったって……
一松
一松
そうだよ。戻った
するとみんな、まるで時間が止まったかのように固まる。


え、どうしたの?
チョロ松
チョロ松
一松
トド松
トド松
そういうことは
カラ松
カラ松
なんで早く言わないんだよ
一松
一松
え、あ、ごめん。自分でも、よく分からなくて……
すると、目の前が暗くなった。


それは、みんなに、もっと抱きつかれたせいだった。
おそ松
おそ松
どうして戻ったかはひとまず置いておいて、戻って良かった……
一松
一松
……そんなに戻って欲しかったの?
六つ子
六つ子
当たり前!(一松以外
みんなおそろいで……。


でも、なんだろ……暖かい。


体の内側が、暖かい。


ホワホワするなぁ。


僕は、ひとりじゃないんだね。
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数日後、俺は退院した。


傷も完治し、もう病院には用がないんだと。


俺、あの、記憶の世界で、昔の俺がどうして知っているか、分かった。


あの空間は、俺が作った世界だから。


昔、一人だけになると、その世界に入る。


それがあったのか、今も一人になるのは好きだ。


でも、一つ前の俺に言いたいことがある。


もう俺は、ひとりじゃないよって。

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