第9話

家族
1,085
2019/07/29 23:38
トビラが開いた。


中から出てきたのは、眼鏡をかけた…母さんと同じくらいの人。
松代
松代
一松…なの?
一松
一松
えっ!
抱きしめられる。
松代
松代
ずっと、ずっと、会いたかった…!
優しく、でも離れられないような強さで抱きしめられる。
その体が離れた。
松代
松代
いままで、一松を育ててくださって、ありがとうございます
二人に向かって、その人は頭をさげた。
松代
松代
どうぞ、家に入ってください
父親
父親
それでは、お邪魔します
母親
母親
お邪魔します
一松
一松
…お邪魔、します
玄関に入る。


す、すごい…。広い…。


玄関に四人入っているのに、未だ余裕がある…。


さすが一軒家…。


靴を脱ぐところも、段が高い…。
俺たちは靴を脱いだ。
松代
松代
一松は、居間に行ってくれる?五人共、いると思うから。山野さん達は、ダイニングの方に…
母親
母親
はい。失礼します
父親
父親
失礼します
部屋へ三人は入っていった。
居間って、ここかな?
スーッとふすまを開ける。
…中には、誰もいない…。
一松
一松
とりあえず、座ることにした。
ドタドタ
足音が聞こえてきた。


とっさに正座になってしまう。
スーッ
ふすまが開いた。
チョロ松
チョロ松
…!
たしか、制服のボタンをきっちり留めてた子…。
一松
一松
あ、あ、えあ、
その子はふすまを静かに閉めた。
…数秒後、ダダダダっと沢山の足音が聞こえてきた。
スパコーン!!
!?


ふすまが思いっきり開かれる。


そこには同じ顔が五つも…。
おそ松
おそ松
…おかえり、一松
一松
一松
…っ
…なんて、反応したらいいのだろう?
五人は居間に入ってくる。
おそ松
おそ松
まず、自己紹介しようか。
俺、松野おそ松…はもう知ってるよな!
長男なんで、よろしく!
カラ松
カラ松
俺は松野カラ松。次男だ。よろしく。
チョロ松
チョロ松
僕は松野チョロ松。みんなよりはマシだからね。よろしく。
十四松
十四松
はいはーい!!僕、五男の松野十四松でぇす!!後でやきうやろー!!
トド松
トド松
ハイハイ、十四松兄さん。野球は後で。
六男の松野トド松です。よろしくね!
…四男がいない。


てことは俺は四男?
おそ松
おそ松
一松。お前は四男だ。チョロ松の弟、十四松の兄だ
一松
一松
あっ…と
自己紹介?
一松
一松
ぼ、僕は、山野一松、です。よろしく…?
カラ松
カラ松
一松、もう「山野」じゃない。「松野」だ
一松
一松
え…あ、
そんなの、急に言われたって…。
チョロ松
チョロ松
一松は、記憶喪失なんでしょ?
一松
一松
う、うん
チョロ松
チョロ松
記憶が戻ったら、僕らのこと、思い出すから
そう言って、ニッコリ笑った。
一松
一松
……
十四松
十四松
どぅーん!
一松
一松
ぐえ!
な、何?十四松がいきなり突っ込んで来たんだけど!
トド松
トド松
危ないよ!十四松兄さん!
十四松
十四松
わー!一松兄さんのにおいだ〜!
トド松が注意するが、聞く耳を持たない。
一松
一松
に、におい?
十四松
十四松
うん!一松兄さんのにおい!前から変わってないよ!
カラ松
カラ松
さすが、十四松だな
おそ松
おそ松
相棒でもあるもんね〜
一松
一松
相…棒?
おそ松
おそ松
そ、相棒。俺とチョロ松、カラ松とトド松、一松と十四松だ。昔から、この二人組で行動することが多かったんだ。な、チョロ松〜!
と、おそ松がチョロ松の方へ寄っていく。
チョロ松
チョロ松
ええい!うっとうしい!
一松
一松
……
おそ松
おそ松
チェー。あ、そうだ一松。俺ら六人の六つ子ルールがあるんだ。
カラ松
カラ松
ルールなんてあったか?
トド松
トド松
あったっけ?
おそ松
おそ松
えっ、あれだよあれ!上の兄弟には「兄さん」をつけるってやつ!昔はなかっただろ?
トド松
トド松
そう言えば、そうだったね
一松
一松
それって、学校でも?
おそ松
おそ松
もちろん
一松
一松
イヤな場合は?
おそ松
おそ松
つけなくていい
一松
一松
……
なんか、緩い?
母親
母親
〜〜〜
父親
父親
〜〜〜〜
松代
松代
〜。〜〜〜
話し声が聞こえてきた。


ふすまを開ける。


見ると、二人が帰るところだった。
父親
父親
じゃあな。一松
母親
母親
元気でね
一松
一松
う、うん。二人も、元気、で
ガラガラ
トビラを開け、二人が帰って行った。

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