二人が声をあげる。
その時、
キンコンカンコン
チャイムが鳴った。
ええ!
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ここは廊下。おそ松と一緒に教室へ帰っている。
…四男がいない…。
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おそ松side
不思議な気持ちだ。
最初、教室で一松を見た時、瞬間的に一松だと分かった。
他の兄弟も一緒だろう。
だから、職員室で自己紹介もしていない一松に向かって「一松」どういうこと呼んだのだろう。
今は一松と一緒に教室へ帰っている。
一松が四男について聞く。
でも俺はうやむやにこたえることしかできない。
一松が、四男が、いなくなってしまった四男が、
ここにいるというのに、何も話せないなんて…。
不思議な気持ちだ。
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帰りのHRが終わった。
前の席の男子だ。
別のクラスメイトの元へ行ってしまった。
…大丈夫かな?つきあいが悪いとか思われてないかな?先生に呼ばれてるけど…。
いじめられないかな?
会議室まで、歩いていく。
場所は、おそ松が知っていた。
移動中、俺達は何も話さなかった。
会議室は職員室の隣だった。
ガラガラ
会議室に入る。
他の四人はもう来ていた。
俺は立ち止まる。
おそ松が振り向いて話しかける。
会議室のテーブルに座っていたのは
おそ松の兄弟四人と、先生と、それから
俺は目の前の椅子に座る。
座り順は、
俺、制服の下に青いパーカーを着たやつ、カーディガンを着たやつ、おそ松、制服のボタンをきっちり留めたやつ、制服の袖から、黄色の袖を出したやつ
向かい側に先生、おじさん…校長先生だろうか?、父さん、母さん、という順だ。
校長先生らしき人が話し始める。
この人は生徒に君付けをするようだ。
…俺達は黙って話を聞く。
急に話を振られる。
教えてくれなかったし、俺も聞こうとはしなかった。
俺達六人が、息を呑むのが分かった。
俺は、覚えていない。
だけど、俺以外の五人が息を呑むのが分かった。
お、俺?
気づいたらそう言っていた。
たしかに、今となれば不審に思う点はあった。
第一に俺の小さい頃の写真がないんだ。
別に俺は「見せて」と、頼んだことがないからかもしれないけど。
髪の毛…。
今日、今朝母さんが、頭にゴミが付いていると、取ってくれた。
もしかして、その時に?
と言って父さんは紙を六枚取り出した。
そこには…
『松野 おそ松、松野 カラ松、松野 チョロ松、 松野 十四松、松野 トド松、山野一松の生物学的兄弟であると判定できる』
これって…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。