第7話

事実
1,156
2019/07/23 02:44
トド松
トド松
ちょっと、兄さん達、どういうこと!?
十四松
十四松
ちゃんと説明して、仲間はずれにしないで!
二人が声をあげる。
その時、
キンコンカンコン
チャイムが鳴った。
先生
もう時間か。しょうがない、続きは放課後、会議室な
ええ!
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
おそ松
おそ松
なんだよ〜。先生、放課後にまとめてやりゃよかったのに〜
ここは廊下。おそ松と一緒に教室へ帰っている。
一松
一松
たしかに。
ところで、あの四人はおそ松の兄弟?
おそ松
おそ松
そうだ。…次男と三男と五男と六男だ
…四男がいない…。
一松
一松
四男は?
おそ松
おそ松
四男か。きっと、先生が呼んだのは四男のことだな
一松
一松
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
おそ松side
不思議な気持ちだ。
最初、教室で一松を見た時、瞬間的に一松だと分かった。
他の兄弟も一緒だろう。


だから、職員室で自己紹介もしていない一松に向かって「一松」どういうこと呼んだのだろう。
今は一松と一緒に教室へ帰っている。
一松が四男について聞く。
でも俺はうやむやにこたえることしかできない。
一松が、四男が、いなくなってしまった四男が、
ここにいるというのに、何も話せないなんて…。
不思議な気持ちだ。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
男子
一松、一緒に帰ろうぜ!
帰りのHRが終わった。
一松
一松
ごめん。先生に呼ばれてるんだ
男子
そっか。じゃ、また明日な
一松
一松
うん。また明日
前の席の男子だ。
別のクラスメイトの元へ行ってしまった。
…大丈夫かな?つきあいが悪いとか思われてないかな?先生に呼ばれてるけど…。
いじめられないかな?
おそ松
おそ松
──松、一松
一松
一松
っ!
おそ松
おそ松
どうした?ぼーっとして。会議室行こうぜ
一松
一松
え、あ、うん
会議室まで、歩いていく。


場所は、おそ松が知っていた。
移動中、俺達は何も話さなかった。
会議室は職員室の隣だった。
ガラガラ
会議室に入る。


他の四人はもう来ていた。
一松
一松
っ!
俺は立ち止まる。
おそ松
おそ松
ん?一松、どうした?
おそ松が振り向いて話しかける。
会議室のテーブルに座っていたのは


おそ松の兄弟四人と、先生と、それから
一松
一松
父さんと母さん?
おそ松
おそ松
へ?
カラ松
カラ松
え?
チョロ松
チョロ松
は?
十四松
十四松
あ?
トド松
トド松
ん?
母親
母親
「山野一松」の母です
父親
父親
「山野一松」の父です
一松
一松
なんで、学校に…?
先生
…山野、松野一号、ひとまず座れ
俺は目の前の椅子に座る。
座り順は、
俺、制服の下に青いパーカーを着たやつ、カーディガンを着たやつ、おそ松、制服のボタンをきっちり留めたやつ、制服の袖から、黄色の袖を出したやつ
向かい側に先生、おじさん…校長先生だろうか?、父さん、母さん、という順だ。
校長
実は、山野君が前に通っていた学校と関わりがあって、その時に山野君のことを知ったんだ
校長先生らしき人が話し始める。


この人は生徒に君付けをするようだ。
校長
そこで、山野君の写真を見た時、松野君達にとても似ていると思ったんだ。不思議に思い、両親の了解を得て君のことを調べさせてもらった
…俺達は黙って話を聞く。
先生
松野。両親はなんの仕事をしているのか知っているか?
急に話を振られる。
一松
一松
えっと…知らないです…
教えてくれなかったし、俺も聞こうとはしなかった。
先生
二人は、警察官なんだよ
俺達六人が、息を呑むのが分かった。
校長
ここからは、松野君達も関わりがある話だ。
数年前、小学生が行方不明になるという事件があったのは覚えているか?
俺は、覚えていない。


だけど、俺以外の五人が息を呑むのが分かった。
母親
母親
その時の捜査に、わたし達二人が関わったの
父親
父親
その行方不明になった小学生が一松なんだ
一松
一松
えっ…
お、俺?
母親
母親
でも一松は記憶喪失になってしまっていたの
父親
父親
一松は本当の家族を覚えていなかった。だから俺達二人が一松の「親」になるように言われたんだ
一松
一松
じゃあ二人は、俺の家族じゃないの?
気づいたらそう言っていた。


たしかに、今となれば不審に思う点はあった。


第一に俺の小さい頃の写真がないんだ。
別に俺は「見せて」と、頼んだことがないからかもしれないけど。
母親
母親
一松、静かに
一松
一松
っ…
父親
父親
今日、先生方に「山野君と松野君達の関係が気になる」と頼まれて、署の方で君達六人のDNA鑑定をしたんだ
母親
母親
髪の毛を使ったの
髪の毛…。


今日、今朝母さんが、頭にゴミが付いていると、取ってくれた。


もしかして、その時に?
父親
父親
これが、鑑定結果だ
と言って父さんは紙を六枚取り出した。


そこには…
『松野 おそ松、松野 カラ松、松野 チョロ松、    松野 十四松、松野 トド松、山野一松の生物学的兄弟であると判定できる』
これって…
校長
君達六人は兄弟だったんだ!

プリ小説オーディオドラマ