第8話

486
2019/12/07 15:19
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 夕方になった。私は、祭壇の前に立った。神楽鈴がシャラン、と鳴る。
琴羽
琴羽
私は…あなたのためになら、命を差し出すわ!!
だから、だから…もう少しだけ待っててね。カナ。私は、大きく息を吸った。そして、命の舞は始まる…!
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琴羽
琴羽
神に告げる
美しき涙、紅き華、生ける体、代償は全て揃った
今こそ再生の術を解放するその時…
身体中に突然、何かに切りつけられたような後ができた。たくさんの血が流れてくる。痛い。苦しい。でも、止めてはダメ。
琴羽
琴羽
事実は夢となり、我が身は朽ち果てる
短き時は永久となり、新たな希望が生まれるだろう
私は夢を運ぶ者
身が朽ち果てた後も、この世界の栄華と幸福を願おう
手足が震える。気を抜いたらすぐに倒れてしまうのだろう。でも、舞わなければ。私の大切な少女のために…!
琴羽
琴羽
別れはもう告げた
愛しきあなたに捧げる
我が身、紅に咲かせましょう…!
さようなら、私の生きた世界。さようなら、大切な人間達。…さようなら、私の、大切な友達…!私の分も、頑張って生きてね…!私は、最後の力を振り絞って両手を、天に向かって振り上げた。
琴羽
琴羽
《天ノ狐華》…!
私は、光に包まれた。とても、暖かい光。あぁ、お母さんが呼んでいる。ずっと、ずっと会いたかったお母さ…ん…。…眠く…なって…きちゃった…。おや…すみ…。

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