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夕方になった。私は、祭壇の前に立った。神楽鈴がシャラン、と鳴る。
だから、だから…もう少しだけ待っててね。カナ。私は、大きく息を吸った。そして、命の舞は始まる…!
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身体中に突然、何かに切りつけられたような後ができた。たくさんの血が流れてくる。痛い。苦しい。でも、止めてはダメ。
手足が震える。気を抜いたらすぐに倒れてしまうのだろう。でも、舞わなければ。私の大切な少女のために…!
さようなら、私の生きた世界。さようなら、大切な人間達。…さようなら、私の、大切な友達…!私の分も、頑張って生きてね…!私は、最後の力を振り絞って両手を、天に向かって振り上げた。
私は、光に包まれた。とても、暖かい光。あぁ、お母さんが呼んでいる。ずっと、ずっと会いたかったお母さ…ん…。…眠く…なって…きちゃった…。おや…すみ…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!