第11話

出会いと別れ
43
2020/01/01 14:39
『20時に駅前の公園のベンチで待ってる』
カラオケを終えて何気なく携帯を取り出すと、一通のメールが届いていて。


達也からだ…。
待ち望んでいた達也からの連絡に心臓がドクンっと震える
ナナ
ナナ
結愛、もう帰る〜?それともゲーセンでプリ撮る〜?
結愛
結愛
う〜ん、どうしよっか…

もう19時50分
達也が指定した時間まであと10分しかない。
相手を待たせるのは平気だけど待つのが嫌いな達也

少しでも遅刻すれば怒って帰ってしまうだろう

このチャンスを逃せば、きっと二度目はない。
ナナ
ナナ
プリ撮るなら私化粧直したいんだけど。って、結愛聞いてんの〜?
結愛
結愛
あっ、ごめん!!
携帯のディスプレイに釘づけだった私にナナは不満げな声を漏らす。

ナナだって言ったじゃん。

あんな男と別れて正解だって。

自分だってそう思ってたじゃん。
達也と別れて正解だって。

達也の浮気症は治んないしどうせまた傷つけられるだけだって。


どんなに信じてもきっとまた裏切られる日が来る。
結愛
結愛
…あたし、今日は帰ろうかな。叶恋に前が見切ってって頼まれたし
嘘。そんなの言い訳

今の今まで忘れてたくせに。

こんな時に叶恋の口実にするなんて最低最悪だ。

だけど分かっているのに、自分を止められない。
ナナ
ナナ
てか、叶恋ちゃん前髪切んの〜?
横分け似合ってたのにもったいないね
結愛
結愛
だね……
ナナ
ナナ
まぁいいやぁ。あたしちょとそこの本屋さんで買いたい本があるから寄って帰るわ。先帰って?
結愛
結愛
うん……。ごめんね。じゃあ、また明日ね?
ナナ
ナナ
うん。また明日
ナナごめんね。
本当にごめん。
ナナに嘘をついた罪悪感を抱きながら、達也の待つ公園に向かって歩き出す。
ーねくすとー

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