第9話

# 7
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2021/07/28 02:17
あれから俺は中学に入学した。


いつもの様にヒロと一緒に玄関で集合すると


あなたが俺の前から消えていた。


いや、正確には知らぬ間に引越していた。


その事を両親から聞くと、


「あなたちゃんがね、


【私が引越すこと2人には言わないでください。
きっと2人は優しいから泣いてくれて…
私も泣いちゃって笑顔になれなくなるから。
これだけは言っといてください。
将来2人のことを待ってるねっ!!】

最後のお願いですって言って」



「優しすぎなんだよバカ。
……絶対に警察官になってやる!!」


正直俺はこの時、

まだ幼かったせいかあなたに

裏切られた気がしてままならなかった。

いつまでも追いかけてばっかで

追いつけなくてそれでも嫌いになれなくて…

凄い悔しくて腹が立って悲しくて憎くて嫉妬して

ぐちゃぐちゃになった汚い感情を

どうすればいいのかも分からなくて、

ヒロにぶつけてしまったり喧嘩にぶつけたり

迷惑を掛けていたことにも気づかなかった。

でも、ヒロはいつも俺にもこう言うんだ。


「ゼロ…今は辛いかもしれない。
だけどあなたは絶対に警察官になる!!
あなたが約束を破ったことあるか?
いつも言ってただろ。
私はれーくんとヒロくんのお姉さんだからね!
そんなお姉さんに追いつくために警察官に
俺らはなるんだよ。
────あ、ちなみに俺もあなたのこと
随分前から好きで狙ってるからよろしく♪」


ヒロの似ても似つかないあなたの声真似と

驚愕の事実に耳を疑った日を忘れることは無い。

あなたの理想の男警察官になる為に

俺とヒロは努力した。

学年トップの成績と運動神経、性格、態度、人脈

全てを頑張った。

それを繰り返すこと10年

俺らは警察学校へと進学した。



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