生徒会室の壁には、巨大な顔ができていた。
しかもメガネまできっちりかけている。
そう言うと壁についた顔が引っ込む。
それから壁が水面のように波打つと、
徐々に人の形に盛り上がっていく。
人の形をしたものは、やがて白夜高校の制服を来た男の人になった。
顔は壁に張り付いていたのと同じだけど、
いまよく見ると、黒い髪は耳や眉がちゃんと出るくらいの長さで、
縁無しのメガネ越しに見えるキリッとした目が、
ちょっと硬い印象を受ける。
うつむいてしまった崎口さんを見て、
信志先輩は会長に講義の目を向ける。
陽彩壁会長の表情が険しくなる。
お化けに学校はないみたいな歌があった気がするけど、
実際はそんなことは無いのかもしれない。
実際私が中学の時に悪目立ちした原因の一つに、
入学式の時に撮った写真が心霊写真になってしまったことがあった。
私のところだけ、足や手が不自然に写って無かった事がある。
他にも私が入る写真は、いつも変な写り方をすることが多かった。
流石にそんなに言われたら、素直に従っていたほうが良いんだろう。
何かあっても、ここにいれば信志先輩に頼ればいい。
いろいろと大事な話を聞いたところで、
私は寮へと向かう。
いろいろあったから、そろそろ休めるといいなぁ……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。