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第3話

気付いたこと
ガヤガヤと騒がしい昇降口。

今日は早帰りだからかドア付近に人がごった返している。

「美恋菜っ‼︎」と可愛いらしく手を振って私を待っていてくれたのは、親友の末永晴美。

元気よくドアを飛び出して晴美の元へと駆け寄る。

「晴美ぃー‼︎ いやー、もう終わったよ!」
午前中で授業が終わった嬉しさからか、つい大声を出してしまう。

すると晴美がワクワクした様子で問いかけてきた。

「ねぇ、それより美恋菜。今年はどうする?バレンタイン!」

…バ、レ、ン、タ、イ、ン。
バレン、タイン。
あぁ!そうだった!バレンタインだ!
アイツの塩対応のせいで見事に忘れてたっつーの。全くもう。

「バレンタイン!そうだった!どーしよっかなぁ…。」正直玲於とのバレンタインは、あまりいい思い出がない。バレンタインの時に砂糖だったのは、多分小学校5年生が最後。

それでも、玲於にだけは手作りしてあげたい。
…それは、単純な話。
私が…玲於を好きだから。
玲於に今年こそは甘々になってほしいから。

「ちょい!美恋菜!大丈夫?」
晴美が不安げな表情をして私の顔を覗いてくる。玲於との思い出に浸りすぎたみたい。
私は思わず頰を真っ赤に染めて大袈裟に頷いた。

「玲於でしょ⁉︎ 今、玲於のこと考えてた⁉︎」
目をキラキラと輝かせて興味津々に詰め寄ってくる晴美。なんでこう、すぐ顔にでるんだろう。でも、晴美の目は欺けない。

もうここは素直に認めるしかない。

「う、ん…。」
私が俯きがちに応えると、晴美はこれでもかと言うくらいニヤニヤしていて、隣でキャーキャー騒いでいる。

「今年はなってくれるといいね!砂糖に…って、バレンタインだからチョコか。」

晴美は一人でうんうんと頷き終始納得している様子。

うん。チョコってのもなかなかいいかも。

「まぁ…。なってくれることなんてあるのかなぁー。」

期待なんて全くしてない。

あんな玲於が。ましてや思春期真っ只中の今、急にチョコのように甘々になるなんて。

落ち込んでいる私を見て、晴美は笑顔で言ってくれた。

「大丈夫‼︎ ウチがなんでも協力するから!もうあまり時間もないんだし、インフルエンザになんかなってらんないんだからね!」

本当、晴美の言葉に今まで何度救われたことだろう。

「そうだよね! できる限りのことはしないとね!」手に握りこぶしを作って燃えるように意気込んだ。

晴美とはその後もしばらく話して、いつもの別れ道で別れた。

晴美といると本当に楽しい。

嫌なことも、全部忘れられた。

玲於は誰と帰ったんだろう。

確か同じクラスの片寄くん…と帰るって言ってたっけ。

いつも隣にいる影がいないから寂しい。
いつからこんなにも玲於に惚れ込んでしまったのかな。

塩だろうと、砂糖だろうと。

いつも私の頭の中には玲於がいて。

朝の言い争いも、可愛いげのない言葉を言ってしまうのも、私自身が素直になれないだけ。

ねぇ、玲於。
今年のバレンタイン、何食べたい?