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第6話

言い争いも時には幸せ
ーピンポーン!

凛としたインターホンの音が家中に鳴り響き、モニターへ駆け寄る。

「玲於?なんでまた!」
思わずびっくりしてしまって可愛いくないことをまたもや口走る。

あぁもう。

考えてから物を言うってのは出来ないのか。

私のアホ。

手に紙袋を持ってドアの前で早く家に入れろと言わんばかりの雰囲気を醸し出している玲於。

バレンタインのレシピを見ていたスマホの画面をそのままにして、玄関に行こうとしたその時。

「はーい!あらぁ玲於くん!いらっしゃい!」

私の母親が完全なる社交用スマイルを顔いっぱいに浮かべて一足先に玲於を出迎える。

「あ、おばさん。ウチでハンバーグ作ったらしいんで。どーぞ。」

そう言ってあの紙袋をママに差し出した。

「まぁー。相変わらず玲於くんのママは料理上手ねぇ!ありがとう!」

手を叩いて喜んでいるママ。
悪いけどおばはん感丸出しやでー。

ママの仕草につい関西弁で注意したくなる。

「あの、美恋菜何してます?」
玲於が呑気にママに問いかけている。

え、本当に入るの⁉︎
突然リビングにくるとかいうから自然にオロオロしてしまう。

「お邪魔しまーす…ってお前、何見てんの?」

玲於が私のスマホに視線を向ける。

うわぁ。
見られたよ。

「バレンタインのレシピだし!」

私が大声でそう言うと、

「え、バレンタイン?…キモ。俺いらねぇよ?」

ベーっといたずらっ子のように舌を出してさらっと酷い言葉を放つ玲於。

「誰も玲於になんか作んないもん!」

必死に反抗しても、玲於は全く動じない。
むぅ…。

「まぁそう怒んなよー。ブスがさらにブスになるぞ!」

玲於は堪えきれずに大口を開けて爆笑してるし。

もう、ひどい!


でも、この間私の具合が悪くなったあの日から、激しい言い争いは相変わらず健在なものの、前ほど本気で嫌な素振りを見せてきたりすることは減ったような気がする。

でもっ!

チョコがいらないだなんてさすがに傷つくよ…。

絶対に受け取ってもらうんだから‼︎

頭の中で綿密な計画を練り始めると、玲於はまた呆れた表情で私を見つめてくる。

「全く。なーに考えてんだか。チョコにヘンなもん入れんじゃねぇぞ!じゃあな!」

え、チョコ、貰ってくれるんだ。

やばい。嬉しい。

自分でも気持ち悪いと思いながらもニヤニヤが止まらない。

私が勝手にお花畑思考になりかけていると、

ドアがバタンと閉まる音が聞こえた。

玲於、帰っちゃった。

まぁいいや。

玲於は味にうるさいからなぁ…。

テスト期間だろうと何だろうと、今年のバレンタインはさすがに失敗するわけにはいかない。

しばらくチョコのレシピを見ていた私は、気分転換に部屋のカーテンを開けて隣の玲於の部屋を意味もなく見つめてからまたバレンタイン作戦の計画と面倒くさいテスト勉強に取り掛かった。