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第10話

ただ溢れて
あの後、教室を出た私は、担任に適当な理由をつけて授業をサボり校内中を走り回っていた。

心の中で玲於の名前を何度も叫びながら。

でも、保健室に行っても空き教室近くの階段に行っても、とりあえず手当たり次第探し回ったけど、玲於の姿はなかった。

咄嗟に探していない場所があると気付き、もうそこしかない!という絶対的な予感に任せてその場に足を運んでみる。

やっぱりね。

予想的中。

屋上のど真ん中に、ポツンと寂しげな背中があった。

「玲於‼︎」

その背中に届くよう、精一杯彼の名前を呼ぶ。

「あんだよ」

また機嫌悪そうにしちゃって。

私は急ぎ足で玲於の元へ向かい、正面に座り対面する形で腰を下ろした。

「なんで怒ってんの?私なんかした⁈」

うん…。

直球過ぎたかもしれない。

自分の言った言葉に少しばかり後悔していると、

「う、うっせぇな‼︎聞いてくんな‼︎」

なぜか辛そうに歯をくいしばって暴言を吐く玲於。

なぜそんな表情をするのか疑問ではあったけど、さすがに腹が立ってきた。

「玲於‼︎いい加減にしなよ!なんなの?ちゃんと私の目を見てよ…!」

私が乱暴な口調で言い放つと、玲於は驚いたような顔をして渋々口を開いた。

「見ちまったんだよ、おまえと爽太が一緒にいるとこ…。それで俺どうしたらいいのか分かんなくなって、おまえにも爽太にも当たって。」

見事に当たった予想に、思わず目をパチパチさせる。

え、でも本当にそれが理由なんだ…。

可愛いとこあんじゃん。

玲於も案外、年相応な一面が多々あるよね。

「あ、ごめんね‼︎私、ただ雑用手伝ってもらっただけで…なんもやましいことはないよ?」

玲於の誤解を解くため、必死にあの時の状況を伝えた。

玲於は一応、うんうんと頷いて話を聞いてくれていた。

「そうだったんだ。おまえが言うなら信じるけど。悪かったよ。」

よかった。

大人しく納得してくれたみたい。

意外とすんなりいったなぁ。

私が安堵のため息を漏らしていると、

玲於は急に頬を赤く染め、真剣な表情で私の目を見つめてきた。

「え?どうし…⁈ちょ、玲於⁈」

ドサッ。

只今の状況をお伝えしますと、

えっと…玲於、が私の上に馬乗り状態。

玲於のその思わぬ行動に、私の心臓は暴れるように音を立て始めた。

玲於に押し倒されてる…‼︎

え、玲於本当にどうしたのっ⁈

クラクラとめまいがしてしまいそう。

嫌でも顔に熱が集中する。

「っ…。」

息も吸えないほどに心臓が圧迫されたような感覚に襲われる。


「美恋菜…」

玲於が今までにないほど優しい声で、私の名前を呼んだ瞬間…。




私の中でそれまで閉じ込められていた心のバリアがガラスのように粉々に砕け散り、

玲於への気持ちがただひたすらに溢れて溢れて、止まらなくなっていた。