第6話

超能力者
17
2019/10/29 00:35


朝早くに体育館のような広い空間に集められた。
女教官
計測装置の指示に従って、自分の能力測定をしろー

オレたちは今、健康診断みたいなことをしている。体重計みたいな台に乗って、バイクのハンドルのようなやつを持つ。


そうすると、数字が表示されて自分の能力の長所とか短所とかが一目で分かる。

カザミコ
キヨ様の数値、とても高いですね!!
キヨ
まあ、日々鍛錬を怠らないようにしているからな。


あいつ、スゲーな〜


オレなんにもしてねえ…

クザン
カンセイ、君が最後だぞ。
カンセイ
おう!!


キヨに機械を渡されて、オレは台の上に立った。



すると、急に「ビー!!」っていうすんげーうるさい音が流れてきた。


オレは訳が分からなくなって、台から降りて持っていた装置を床に置いた。


カザミコ
何が起きたのでしょう??
クザン
分からないよ。
ただ、この機械から警告されているような音だったな。
キヨ
「Error」の文字が見える…
恐らく、測定不能もしくは故障だろう。


そうこう言っているうちに、教官がやって来た。


ちょっと焦ってる??

女教官
今、測定しようとしていたのは誰だ??
周りのヤツらが一斉にオレを見る。


なんか、オレが悪い事したみたいじゃねえか…

カンセイ
あー、オレです。
オレが台の上に乗りました。

教官は着いてこいと言って、つかつかと歩き始めた。


言われるがままに教官に着いて行くと、学長室の前まで来ていた。


やっぱオレ、怒られるんだ…


女教官
学長、入ってもよろしいでしょうか。
学長
あぁ、構わないよ。


失礼しますと言って教官が入って行ったから、オレも同じようにして、学長室に入った。

学長
どうしたのかい?
そこの彼は??
女教官
はい。
学長にお話したいことがありまして。
彼は今年の新入生の1人です。
学長
君、名前は?
カンセイ
灯野宮 寛生です!
学長
ヒノミヤ君。覚えておこう。
それで、彼がどうかしたのかい??
女教官
本日、能力測定を行なっていた所、彼の測定機に「Error」の文字が出まして…
学長
なんと…「Error」が…


オレは2人の会話を黙って聞いていたけど、結局何が言いたいのか分からなくて、つい聞いちまった。

カンセイ
あの…やっぱりオレ、機械壊したんですかね??

2人はきょとんとした顔でいるから、オレは質問しちゃいけねえのかと思って、慌てて黙った。


オレが申し訳なさそうにしていても、学長は微笑んだままだったから、オレは不審に思った。


学長
大丈夫だよ。機械は壊れてはいないよ。
君が謝ることはない。


オレはホッとして、胸を撫で下ろした。

学長
ただね、困った事に君の能力は測定不能なんだよ。
カンセイ
え、どういう事ですか?
女教官
簡単に言えば、君の能力が膨大過ぎて測ることが出来ないという事だ。
学長
この学校が始まって以来君で2人目だよ。当時世間は彼の事を「超能力者」と呼んだそうだ。
カンセイ
本当ですか?!
オレも超能力者かぁ〜

オレはつい嬉しくなって、ガッツポーズをした。

学長
ただ彼はそれで持て囃され、舞い上がってしまい、結果的に能力の暴走を起こしてしまった。


喜んだのも束の間、オレは恐怖心で震えた。




能力の暴走…



あれも、もしかして…

カンセイ
オレも同じように暴走してしまうんでしょうか?
学長
それは君の行動次第だよ。
暴走しないよう抑える事ができれば、君は彼の様にはならないだろう。
カンセイ
気をつけます!


オレと教官は学長室をあとにした。





前からオレにはどこか周りの奴らとは違うようなモノがある気がしていた。




今日、これでハッキリした。
オレは「超能力者」だ。




プリ小説オーディオドラマ