朝早くに体育館のような広い空間に集められた。
オレたちは今、健康診断みたいなことをしている。体重計みたいな台に乗って、バイクのハンドルのようなやつを持つ。
そうすると、数字が表示されて自分の能力の長所とか短所とかが一目で分かる。
あいつ、スゲーな〜
オレなんにもしてねえ…
キヨに機械を渡されて、オレは台の上に立った。
すると、急に「ビー!!」っていうすんげーうるさい音が流れてきた。
オレは訳が分からなくなって、台から降りて持っていた装置を床に置いた。
そうこう言っているうちに、教官がやって来た。
ちょっと焦ってる??
周りのヤツらが一斉にオレを見る。
なんか、オレが悪い事したみたいじゃねえか…
教官は着いてこいと言って、つかつかと歩き始めた。
言われるがままに教官に着いて行くと、学長室の前まで来ていた。
やっぱオレ、怒られるんだ…
失礼しますと言って教官が入って行ったから、オレも同じようにして、学長室に入った。
オレは2人の会話を黙って聞いていたけど、結局何が言いたいのか分からなくて、つい聞いちまった。
2人はきょとんとした顔でいるから、オレは質問しちゃいけねえのかと思って、慌てて黙った。
オレが申し訳なさそうにしていても、学長は微笑んだままだったから、オレは不審に思った。
オレはホッとして、胸を撫で下ろした。
オレはつい嬉しくなって、ガッツポーズをした。
喜んだのも束の間、オレは恐怖心で震えた。
能力の暴走…
あれも、もしかして…
オレと教官は学長室をあとにした。
前からオレにはどこか周りの奴らとは違うようなモノがある気がしていた。
今日、これでハッキリした。
オレは「超能力者」だ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!