第4話

鈴の音
604
2021/05/30 05:39
滲んだような鈴の音が、鼓膜の中で鳴り響く。
目の奥がしびれるような感覚になって、ふっと目を覚ますと、レイは椅子に座っていた。
硬い感触の、白い椅子。
目の前には、もう一脚、同じ椅子が向かい合うように置いてある。
そして、そこには一人の白い少女がレイと向かい合うように座っていた。
レイチェル
....?
そこは、レイの知らない場所だった。
何もない、カウセリングルームのような無機質な空間。
吐いた息が見えそうなほど、冷たい空気が漂っている。
レイチェル
💭ここは、どこ........?
不可思議に思いながら、レイは椅子から立ち上がり当たりを見回した。、
レイチェル
........
けれど頭の中が真っ白になったあの瞬間から、記憶喪失になってしまったみたいに、何も思い出せない。
でも、この世界が現実だということはわかった。
だって夢の中と違って、どこへでも、自分の思う通りに動くことができる。
レイチェル
💭さっきは、夢を見ていたんだ........
レイは小さくため息を吐いたあと、この世界が現実だということ以外は何もわからないまま、吸寄せられるように窓辺に歩み寄り、大きな窓の外を見つめた。
レイチェル
💭........青い、満月
窓の向こう側には、異様なほどに青い光を放つ月が浮かび上がっている。
だけどその月は、大きさも、色も輝も........、まるでスクリーンに映っているみたいに不自然だった。
レイチェル
💭なんだか本物じゃないみたい........
あなた
青い月は、滅多に見られる現象ものじゃない........
レイチェル
レイチェル
💭喋れたんだ........
そう、この子が言うとうり、滅多に見られない。
いつかそう、先生が言った。
レイチェル
💭先、生........?
______先生って、誰........?
誰、だっただろう。
よく思い出せない。
レイの目蓋の裏には、ぼんやりと、真っ白な白衣を着ていたような後ろ姿だけが浮かぶ。
レイチェル
💭........お医者、さん?
そしてその瞬間、消えかかっていた脳みその細胞が蘇るみたいにはっとして、
レイチェル
そうだ........、私は、病院に来ていた
思わず声が漏れた。
レイチェル
💭確かここは、診察室だった........
_____だけど私は、病気なんかじゃなかった........。
だって、どこも痛い部分なんてない。
なのにどうして病院に来たんだろう。
レイチェル
っ........
その時また突然、夢から醒めたときと同じように、激しい目眩がレイを襲った。
レイチェル
💭気持ち悪い........
______ほら、レイもこっちにおいで。
思わずうずくまり、目をつむると、夢で聴いたお母さんの声が耳に木霊する。
レイチェル
とにかく、お父さんとお母さんのところへ行こう........
レイチェル
💭あ、そうだ、……
レイチェル
あなたも、一緒に行こう?
白い、生きているかもわからない少女に手を差し伸べた。
あなた
コク、
そして手を繋ぎ、少女と一緒にフラフラとよろめきながら部屋を出た。

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