『うぅ…ッ、グスッ……』
いつまでたっても、涙がとまらないんだ。
中学生の頃も、廉は告白されることもあった。
今みたいにモテるわけではなかったけど、
そこそこの数の告白を受けてきた。
いつもいつも、
「俺は好きやないからふった〜」
なんて報告だけで。
『じゃあ、好きな人おらんの?廉は』
なんて聞いたこともあった。
でも廉は、
「う〜ん…いてもお前には教えへんけど。笑」
そんな答えばかり。
廉はずっと、私のそばにいてくれるとおもってた。
たとえ、私の事が好きじゃなくても。
幼馴染としてでも、廉の隣は私だけだと思ったのに。
廉はきっと、花蓮ちゃんに一目惚れしたんだよね。
もちろん廉も、しっかりカッコよくなっちゃってるし、
ノート拾ってもらうなんてロマンチックなことされた花蓮ちゃんは、
好きになってしまうのも当たり前やし。
ついに廉も、両想いの相手。好きな人。彼女が出来たんだ。
それがどんなに辛いことか___
今まで、振った事しかなかったから、
ものすごく、悲しかったんだ。
付き合うなんてそんなの、考えたくなかったから。
廉は、私の側にいてくれる。と。
なのに…
花蓮ちゃんに、隣が奪われてしまったんだ。
昔からずっと、廉だけが好きだったのに、
廉と会ったばかりの花蓮ちゃんに、先を越された。
悲しすぎるに、決まってる。
じゃあ、…
あれは、なんだったの、?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!