あっという間に家に着き、
紫耀は最後まで見送ってくれた。
『ばいばいっ、……』
紫耀「寂しくなったら連絡しろよ。」
『うん、ありがと…』
紫耀「じゃぁっ、」
家に入り、制服のまま部屋のベッドに横になる
『うぅっ、……グスッ……』
ほら、涙が止まらないんだ。
『もぉぉ…っ、やだぁ…』
枕に顔をうずくめて、必死に声を押し殺す
でもその時、
タイミング悪く、廉が入ってきた
廉「え、何しとんの。寝てるん?」
『おぎてる…』
廉「…パンツ見えるで」
『あ、あほ…。へんたいっ』
廉「なぁ起きれや」
『んーん、』
今起きたら、泣きそうだもん。
廉「今日な、花蓮ちゃんと帰ってん。」
『へ、へぇ…。』
見てたし。
廉「花蓮ちゃん、意外に可愛ええよな」
…え。
『…ッ、そおやね…』
もうあかんよ、泣くし。
廉「なんか、…ギュゥしてもうた。」
なんで、言うの…
『………』
廉「あなたと全然ちゃうかった。柔らかかったで。笑」
もう、なにも反応できないわ…
廉「なぁ、あなた…?」
廉「あなた…、?」
廉「なんで反応せえへんの、?」
『っ、…別に』
廉「なんか、いつもとちゃうやん。」
「なんかあったん、?」
あんたのせいだわ…。
『眠いだけ…』
廉「ほーん、そうなん。じゃあ寝ろ」
『寝ようとしてたわ』
廉「あ、俺がお邪魔してたと。そーりぃ」
『はいはいっ、』
廉「じゃあ戻るなー」
『うん、』
窓からこえて、廉の部屋に戻る。
やっと、やっと行ってくれた…
鏡を見れば、ほんとに不細工なくらい涙でボロボロな顔。
もう、諦めるしかないのかな…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。