飛雄さんに頼んでやって貰える事になった、
あの烏野の速攻。
いつも試合で最初は絶対に反応出来ないその
攻撃をキレイに僕が上げた事で、撃った日向翔陽
さん本人も澤村…さん達も驚きを隠せずにいた。
当然コートの外から言われても、僕にとっては
全く意味を成さない。
視界はただ白く霞んだ世界で、ネットを挟んだ
先にいる飛雄さんも分からない。
それでも僕は日向翔陽さんのスパイクを全て
キレイに上げて。
……久しぶりにボールに触れられた嬉しさと
場違いなテンションになってしまっている事への
羞恥で慌ててコートの外に出た。
シー……ンと静まりかえるこの雰囲気。
知ってる。
僕がおかしいってこと。
異常だから、こうして静まり返って、僕の事を
悲観的な目で見る。
どんなに頑張っても、
僕は「目が見えない役立たず」な人間。
何処に居ようと、誰と居ようと、それは覆せない
事実。
決まってる。どうせ「ごめんな」って言われて
断られる。
……驚いた。
可哀想っていう言葉以外にそう言ってくれる人、
飛雄さんの他にもいるんだ…………。
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遅くなりまして申し訳ありません!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!