ぺけたんside
今日から博士が何日か九州の方に出張することになった
昨日は何度も外に出るなとか色々言われた
やっぱりまだこの前のこと怒ってるのかな…
家にずっと一人でいることなんてなかったから、静寂が続く研究所に違和感しか感じない
すると、また胸の辺りがズキズキし始める
寂しいが始まったみたいだ
そう思いながら、部屋の掃除を始めた
マサイside
大学の授業が終わって、研究所に向かう
今日から博士が出張でいないから、きっとぺけは退屈してるだろうからゲーム機とかも持ってきた
研究所に入ると、シーンとしていて人のいる気配がなかった
研究所を探し回ると、ソファの上で寝ていた
そういえばぺけの寝顔久しぶりに見たな
そう思いながら俺はぺけに近寄り、そっと頭を撫でた
ぺけの少し甘ったるい声を聞いて少しドキッとした
よく見るとパーカーもダボっとしていて胸元が見えていて、なんか色気がすごいというか…
ぺけは目が覚めて、俺のことをじっと見つめてくる
起きたばかりなのか、目がトロンとしている
やばい、なんかすげえ、キスしたい
そう思いながら、ぺけの頬に手を添える
ぺけに声をかけられて、やっと我にかえり、手を退ける
するとぺけは両手をパッと広げた
首をこてんと傾けてそう言った
それがたまらなく可愛くて俺も両手を広げた
博士にあんなこと言われたけど、ぺけが笑顔でいてくれるなら怒られてもいいや
ぺけは嬉しそうに俺に飛び込んできた
無機物でできているはずのぺけからほんのり温もりを感じる
本当に人みたいで、なんだかドキドキする
ぺけといるとなんだかドキドキして、幸せな気持ちになる
ずっとこいつを守ってやりたくなる
もしかして俺…
この気持ちは好きってことなんだよな?
この気持ちは伝えるべきなのかな
そう思いながら隣でゲームを楽しそうにやるぺけを眺めた
…今は、傍にいられるだけで十分だ
そう自分に言い聞かせて俺はゲーム機を手に持った
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。