まさか一緒に帰るなんて。
もちろん無言だけどね。
🐯 …道暗くね?
🍎 毎日これだけど
🐯 危な、お前女子なんだよ?あ、てか名前
🍎 名前?やんあなた
名前くらいなら言ってやろう
別に何もないし。
🐯 へー
棒読みっ
こいつムカつくな…
🍎 棒読みやめろ
🐯 うるさい
謎のやり取りをして、また黙る。
でも、隣に人がいるだけで落ち着く
ずっとこの暗い道、1人は怖いし。
.
🍎 ふぅ、あんたのせいで歩く羽目になった
🐯 送ったんだから感謝してね
そう言ってテヒョンは私の家を見た。
🐯 …電気無いけど、親は?
親。
🍎 …いないよ
🐯 え?
🍎 亡くなったの、親は。
🐯 じゃあ1人?
🍎 たまにとなりのおばちゃんがくるくらい。
あ、どうしよう
勝手に涙が出てきた。
🐯 え…大丈夫かよ
🍎 だい、じょーぶ、なん、も…
今になって泣くなんて恥ずかしい。
私は必死に目を拭う。
その時だった
ギュッと抱き締められてしまった。
🍎 ちょっと、離して!
🐯 嫌だ
🍎 でも、本当っ
🐯 泣きたいんだろ、なら泣けよ、俺の腕ん中で。
目を逸らしたテヒョン。
何だ、慰めか。
泣きたいなら泣けよ。
🍎 …ごめん
私はそのまま、泣いてしまった。
会いたい気持ちが募ってしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!