第4話

あの世
61
2021/08/10 09:00



停車場、という所に降りた

線香の匂いが微かにする

嬉しそうな表情を浮かべて果物などを抱える人達

恐らくあれはお供え物だろう

お盆から帰ってきた亡者のようだ
老婆「これ、そこのお嬢さん」
「私ですか?」
老婆「そうじゃ、お主はこっちへ来なされ」
「……?」
いわゆる、昭和レトロという部類の建物に入る
老婆「ここで、お主の行き先を決める」
老婆「その紙を渡しなされ」
「紙?」
老婆「ほれ、その紙じゃ」
いつの間にか右手に紙を持っていることに気づく
その紙をお婆さんに渡す
老婆「ふんふん……」
老婆「お主まだ高校生じゃないかえ?」
老婆「勿体ない事じゃのう……」
老婆「出来ることならわしがじぇーけぇとやらを」
老婆「満喫したいものじゃがなww」
このお婆さんは随分ユーモアがある
老婆「どれ、お主は心残りはあるかえ?」
「心残り……」
強いて言うなら獅音のことぐらい……
「あの、半年前に死んだ幼なじみに会いたいんです」
老婆「おや、そりゃまた珍しい」
老婆「その会いたい者の特徴は?」
特徴?名前じゃなくて?

何かおかしいと思ったが、自我はそれを

気に留めることは無かった
「オレンジ色の髪の毛に、黄色のピアスを付けてて」
「真っ赤な目をしてます」
老婆「そうかえ、ちょいと待っとってな」
老婆「今探してくるから」
老婆「そうだ、そのお茶菓子でも食べとってな」




あのお婆さんは実家のお婆さんのようだ

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