暗い静寂の中、意識が浮上する
私は、何をしていたんだろう
そうだ、獅音が夏祭りの途中に急に居なくなって
それで探してたんだ
起きなきゃ、獅音を探さなきゃ
サキ「ん……((パチッ」
獅音「…………」
目の前で、獅音が寝てる
相変わらず整った顔をしていて少し腹立たしい
こんな寝顔を誰にも見せたくない思いと
もう少しこの寝顔を見ていたいと思う気持ちが交差する
獅音「ん……((パチッ」
獅音「あれ……俺、何を」
サキ「獅音、おはよ」
獅音「あっ、サキ」
獅音「そのピアス、付けてくれたんだね」
サキ「うん、お揃いだし獅音に1番に見せたかったの」
獅音「っ……////」
サキ「?」
サキ「そうだ、そろそろ花火上がる時間じゃない?」
獅音「あっ、そうだね」
サキ「こっから見えるかな〜」
獅音「…………サキ」
サキ「ん?」
獅音「今日、伝えたいことがある」
サキ「なに?」
獅音「……」
獅音「俺は、13年間サキに片思いしてる」
サキ「……?!//////」
獅音「ごめん、こんなダサい告白で」
獅音「でも、サキは可愛いしモテるし」
獅音「俺なんかじゃ釣り合わないんだ」
獅音「だから、この気持ちだけ知っててくれれば」
獅音「それでいい」
サキ「……片思いじゃないよ」
私の声は微かに震えていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!