第10話

第9話 僕はさとみくんといきて行く。
2,030
2021/01/05 13:41
さとみ
さとみ
ここで死んで欲しい
ころん
ころん
…え?
さとみくんの口から言われた言葉は僕が想像していたものとは程遠いものだった。

突然そんな冷たい事を言われ、僕の体は固まる。
ころん
ころん
死んで…欲しい…?
さとみ
さとみ
うん…。
さとみ
さとみ
俺ところん自身の為に。
ころん
ころん
…どうゆう事?
さとみ
さとみ
俺は地縛霊、この病室から離れればその分の代償として霊力が無くなる…
さとみ
さとみ
話し合い室は近かったから行けたけど、治療室はここからは少し遠すぎる…
さとみ
さとみ
誰かと一緒に天国に行くには、その人と死ぬ瞬間手を繋がないといけない…
さとみ
さとみ
だから…
さとみ
さとみ
俺はころんと一緒に居たい…
さとみ
さとみ
それはころんも一緒でしょ?
ころん
ころん
それはそうだけどッ…
一気に色んな事を教えられたせいで、頭がおかしくなりそうだ…。

さとみくんとは一緒に居たいけど…どうせなら最後まで生きたい…かも…。
さとみ
さとみ
一緒に逝きたいんなら…いいよね…?
さとみくんは抱き締めていた手を離して、そっと僕の首に手を添える。



『ドサッ』
ころん
ころん
ッ…!
ころん
ころん
さとみくんッ…!?
さとみ
さとみ
ころんッ…
さとみ
さとみ
…すぐに楽にしてやるから。
さとみ
さとみ
…ね?ギュゥゥゥッ
ころん
ころん
ッはぁ…さトッ…ミクッ…ン…!!
ころん
ころん
グッ…!う"ぅ…あ"ぁッ…!!
ころん
ころん
やメッ…て…!
さとみ
さとみ
喋るなッ…余計に辛くなんぞ…
さとみ
さとみ
大丈夫、死ねば楽になるから…
さとみ
さとみ
俺も、ころんも…
さとみ
さとみ
ころんの病気ならッ…
さとみ
さとみ
きっとッ…
『ギュ…』
意識が遠のいていく中、手に少し温もりの様なものを感じた…

あぁ、僕死ぬんだ。

あれもこれも、全て終わり。

1度死んだら、もう"初める"事は出来ない。

お母さん…ごめんね、せっかく再開することだって出来たのに…
あと少し生きてみようと思った人生、さとみくんに殺されるなら、別にいっか。

さとみくんと居られるなら僕は幸せ。




























































…だよね?
お話して、歌って、触れて…大好きな人の声が聞けるなら…幸せだよね?

でしょ?そうじゃないならさ、僕
『何のために逝きてんの…?』
ころん
ころん
そして、僕の体は冷たくなっていく。

でもいいんだ。これで

僕はさとみくんと生きて行く逝きて行く
そう決めたじゃんか…

…なんでだろうね。

なんで僕は無笑病なの?さとみくんだって同じ…

こんなの不平等だよ…
産まれたくもない体になって、ただでさえ嫌なのに酷い扱いを受けるんだよ…?

何だよそれ…本当に意味分かんねぇ
ころん
ころん
……
ころん
ころん
………………
ころん
ころん
……………………。
そして、僕は人生に"終わり"を付けた。

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