『そんな子、誰も居なかったわよ…?』
そう言って、いつの間にか強く握りしめていた布団をベットの端へ無造作に寄せる。
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もう頭の中がぐちゃぐちゃだよ…
お母さんには、さとみくんが見えてないって事で合ってる?
何で…?
でも僕には見えるんだよ?
考えれば考える程、意味が分からなくなってくる。
とりあえず、さとみくんのところに会いに行こう。
今考えるとさとみくんの病室、1回も入った事無かったな、
あそこって何号室何だろ…
そして、いよいよさとみくんの病室の窓へ到着する。
そう言って彼はいつものように窓から顔をぴょこっと出している。
…ちょっと可愛いw
…やっぱり見えないんだ
どうして?今ここに居るじゃん…
僕は倒れたお母さんを必死に呼んだ。
多分気を失ってるのかな…
僕の話を遮るように話しかけるさとみくん。
さとみくんの声は、いつもの優しい声ではなく、深く黒い声に聞こえた。
さとみくんは狂った様な笑い声を上げ、途端に小さな声で呟いた。
"人間じゃ無いんだよ"
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。