第2話

第2話 出会い
2,332
2020/12/28 04:00
さとみ
さとみ
死にたいって…俺で良ければ話聞くぞ
うわっ…びっくりした…
誰だこの人…目に包帯してるけど…
ころん
ころん
いいよ別に…僕の事なんも知らないくせに…
それは僕自身の本心だった。

人に話を聞いてもらうだけじゃ、なんも解決しないだろう

目の見えない子にこの事を話して友達にでもなってもらっても

それはこの人が可哀想だ

何より、友達とかってめんどくさいんだよね
さとみ
さとみ
知らない?
さとみ
さとみ
お前…毎日ここに来ては歌ったり、昼寝したりしてるだろw
ころん
ころん
え…
ころん
ころん
…何で知ってんの?
さとみ
さとみ
そりゃここ、俺の病室の窓だし
そうだ…

よく考えたら、1週間くらい前からここの部屋、明かりついてたわ。
さとみ
さとみ
俺さぁお前の声好きなんだよね
さとみ
さとみ
良かったら名前教えてよ!
ころん
ころん
えぇ、やだ。
さとみ
さとみ
ぐぬぬ…( ・᷄ὢ・᷅ )
さとみ
さとみ
じゃぁ、お前の歌声!みんなにバラしてもいいのw?
ころん
ころん
ちょっ…!
そう言うと、男の子は録音機の様なものを取り出し、音声を再生しだした。
録音機
録音機
誰かに笑われる そんな人生だって〜🎶
さとみ
さとみ
ほぉら、歌声めっちゃ綺麗じゃん!
ころん
ころん
さとみ
さとみ
友達になりたい、まずは名前!
ころん
ころん
いやd…
さとみ
さとみ
じゃあみんなにばらす!
ころん
ころん
もう…わかったよ…
ころん
ころん
ただし、絶対だかんね?
さとみ
さとみ
りょ!
なんだよ…コイツ…

しょうがない、言うしかないかぁ〜…
ころん
ころん
僕は蒼井 ころんあおい
さとみ
さとみ
俺は桃井 さとみももい!!
さとみ
さとみ
これからよろしくな!
ころん
ころん
う、うん…
さとみ
さとみ
そういやころん何歳?
ころん
ころん
…今は16歳。
さとみ
さとみ
へー、16歳なんだ〜!
俺は18歳だから、ころんより年上だな!
ころん
ころん
そ、そうだね…
この人、18歳だったの?

見た目的にも、声的にも、大人かと思ってたわ…

てか、しれっと呼び捨てしてるし…この名前で呼ばれたの何年ぶりだろ…
さとみ
さとみ
なぁころん。
ころん
ころん
何?
さとみ
さとみ
俺さ、目の病気持ってんだけど、ころんも病気なの…?
さっきとは裏腹にか細い声で聞いてきた。

やっぱり彼は、目の病気だったのか…
ころん
ころん
…うん。
ころん
ころん
僕も…
言おうかな…

言ったらまたどうせ離れていくんだろうな…

どうしよ…
ころん
ころん
僕は無笑病って言う病気なんだ
ころん
ころん
笑えなくなる病気、詳しく言うと顔の表情筋?ってのが弱くなっちゃうんだよね
ころん
ころん
今は話せるくらいだけど、笑えないからみんな気味悪がって僕には両親も友達も居ないんだ
ころん
ころん
だから、君も僕とは一緒に居ない方がいい。君まで気味悪がられるよ…?
さとみ
さとみ
気がつけば僕は泣いていた。

彼の目が見えなかったのが不幸中の幸いだった。

どうなの?黙り込んで…。

笑わない友達なんて嫌でしょ?

自分まで気味悪がられるなんて嫌でしょ?

だから、早く僕の事を嫌ってよ…






























さとみ
さとみ
…辛かったんだね、いっぱい泣いていいよ
ころん
ころん
は?別に泣いてないから…
さとみ
さとみ
泣いてるでしょ?俺にはわかるよ。
ポスッ…(頭に手をおく)
さとみ
さとみ
俺はころんと一緒に居たいの!
さとみ
さとみ
気味悪がられる?
人間がどう思うかなんて人それぞれだろ?
さとみ
さとみ
いっぱい泣いて、全部忘れろ
さとみ
さとみ
俺がころんの家族にでもなってやるよ
久しぶりに頭を撫でられ、今まで我慢していた大粒の涙が目から零れ落ちていく。

その時、人の暖かさを久しぶりに感じた気がする。

初対面の人の前で泣くのは少し気が引けてしまうが、僕に涙を止める事は出来なかった。
ころん
ころん
ウゥ…迷惑かけちゃうかもよ?
さとみ
さとみ
迷惑だなんて思わないよ
ころん
ころん
頭おかしくなっちゃうかもしれないよ…?
さとみ
さとみ
おかしくなってもいい、俺が支えるよ
ころん
ころん
グスッ…うわぁああぁぁぁあ…!
さとみ
さとみ
ふふっ… ナデナデ…
いっぱい泣いた。

もう涙が出なくなるぐらいまで。

そして僕に友達と言える存在が出来た。

おかげでもう少し生きてみようと思うようになった。

そして、毎日に"楽しみ"が出来た。



















彼との出会いが僕の死を直進させるきっかけになるとも知らずに。

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