うわっ…びっくりした…
誰だこの人…目に包帯してるけど…
それは僕自身の本心だった。
人に話を聞いてもらうだけじゃ、なんも解決しないだろう
目の見えない子にこの事を話して友達にでもなってもらっても
それはこの人が可哀想だ
何より、友達とかってめんどくさいんだよね
そうだ…
よく考えたら、1週間くらい前からここの部屋、明かりついてたわ。
そう言うと、男の子は録音機の様なものを取り出し、音声を再生しだした。
なんだよ…コイツ…
しょうがない、言うしかないかぁ〜…
この人、18歳だったの?
見た目的にも、声的にも、大人かと思ってたわ…
てか、しれっと呼び捨てしてるし…この名前で呼ばれたの何年ぶりだろ…
さっきとは裏腹にか細い声で聞いてきた。
やっぱり彼は、目の病気だったのか…
言おうかな…
言ったらまたどうせ離れていくんだろうな…
どうしよ…
気がつけば僕は泣いていた。
彼の目が見えなかったのが不幸中の幸いだった。
どうなの?黙り込んで…。
笑わない友達なんて嫌でしょ?
自分まで気味悪がられるなんて嫌でしょ?
だから、早く僕の事を嫌ってよ…
ポスッ…(頭に手をおく)
久しぶりに頭を撫でられ、今まで我慢していた大粒の涙が目から零れ落ちていく。
その時、人の暖かさを久しぶりに感じた気がする。
初対面の人の前で泣くのは少し気が引けてしまうが、僕に涙を止める事は出来なかった。
いっぱい泣いた。
もう涙が出なくなるぐらいまで。
そして僕に友達と言える存在が出来た。
おかげでもう少し生きてみようと思うようになった。
そして、毎日に"楽しみ"が出来た。
彼との出会いが僕の死を直進させるきっかけになるとも知らずに。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!