10℃
ソーラ視点
11月ももう半ば。
今年は暖かいと言われてたんですが…
今日だけ年末みたいな寒さ。
マフラーが手放せません…。
手袋は見つけられなくて手先が凍る…。
そっと息をつけば目の前が白くなる。
もう冬は目の前。
そう言って手を差し出してくる。
私が手袋ないから…か。
流石、よく見てますね…。
…もう揃っちゃったw
昨日までずっと一緒にいたメンバーが。
大事な仲間たちが。
そんなこんなで学校まで早5分ほど。
門の前まで行くや否や大騒ぎ。
それはなんでなのか。
当たり前だよね!
だって2週間学校来てないんだもんw
しかも少し前まで文化祭の件で騒がれてた6人が全員!
AB合同文化祭の時に作った掲示板でも騒がれていたらしい…(昨日知った)
これは…教室に行くまで苦労しそうw
これでまだ門の前。
進めるのかなw
教室にて、少し距離感を感じる今日この頃。
そんなのは当たり前なんですよ。
さて、どう言おうかな…。
というかどこまで言っていいんだろう…。
うん、ちゃんと広まってますね…w
チャイムがなるまであと5分。
簡単に説明だけしちゃうか。
そこから周りに広げて貰えば良い。
だって何回も言うの少し面倒だしw
とかなんとか、各々がまた騒ぐ。
でも、中には心配してた、って声もちゃんと聞こえる。
身バレしたってのもあるかもだけど…私たちを思ってくれる人たちがいてくれて幸せな話ですよね。
キーンコーンカーンコーン…
『1年、桃野空、神野翔。
2年、茶野あみ、赤城とも、天乃絵斗。
3年、黄田あつひろ。
至急校長室までお願いします。』
ガラガラガラ…
私たちは教室を出て2年のクラスに向かう。
多分、バステンさんも同じだと思う。
集まる場所は…
ともさんのいるクラス。
堂々と名前を呼ぶ。
これが許されるのはこの学校でだけ。
なんだか特別感がすごいなぁw
ダダダッ‼︎
そう。結局校長は私たちの『あの件』があってから変わってないのだ。
もちろん懲戒免職なんだけど、私立なもんだから、代わりがいないのよ。
だから、ひとまず今年までは勤めてもらうそう。
こっちとしてはいい迷惑なんですけどね。
コンコン…
…またこの横柄な態度。
何にも変わってないのね。
そして、うちの男子はちょっと挑発的。
もうすでにともさんとバステンさんとぺいんとさんが睨む体制に入ってる。
でもあまり話したくないらしいw
まるで、あの時の報復と言わんばかりの言動。
まぁ…今回も痛い目見ることになりますから、上から目線というのをやめることをおすすめしたいですねw
ここで口出すとまた逆上するので男子にお任せしますけどもw
ぺいんとさんは紙とは別にスマホのニュースを提示していた。
そこには…
『高校生の住むマンションに強盗』とあった。
おそらく、私たちの誘拐の記事だろう。
…ん?あの顔…。
『嘘』にしてしまいたい。っていう魂胆が見え見えだね。
…早く終わらせないし、奥の手使うか。
ガラガラガラ…パタン…
私たちよりかは手強くないと思うけど…やはり心配ではある。
ひとまずここは解散して、
昼休みに連絡を取ることとした。
生徒会室にて。
コンコン…
時程はほぼ同じだから、
今電話すれば出てくれるでしょう。
しかも昨日の今日だからみんな一緒にいるはず。
そう踏んで、バステンさんがよっぴーさんに連絡する。
B高はどうなったのだろう…。
日頃の感謝
ぺいんと視点
時は経って放課後。
俺らは今、B高にいる。
その目的は『動画』のため。
今度は心配してくれた学校のみんなに。
実写で動画を撮る。
そしてこの後はみんなすぐに帰宅。
今度は心配してくれたリスナーさんに。
マイクラ画面で動画を撮る。
ひとまず退学は全員免れたから…
この動画を撮って投稿して無事を伝えれば全てが終わりを告げる。
また日常が戻る。
あと、少しなんだ。
よっぴーさんがプリントにまとめてくれたものを、それから自分たちの経験したことを凝縮して…
全てを公にした。
それからソーラさんがいいよ、って言ってくれたから…この学校でのいじめの話とかも全部話した。
今ここでは、あかがみんクラフトとか日常組とか関係なく1人の人間として話す。
俺たちの置かれていた状況を知ってほしくて。
ポチッ…
心なしか、みんな元気に見える。
まぁそりゃそうだよな。
だってようやく日常に戻れるんだから。
学校行って勉強して部活して。
家に帰って撮影してライブして。
何気ない日々だけど充実してるこの瞬間を…
当たり前じゃない!
って思えるのが大事なんだろうな。
なんか様子がおかしいな…。
みんな笑ってるのにお前だけ…
…なんで、嘘ついてまで笑ってんだ?
僕が想いを寄せていた人
しにがみ視点
家に帰ってすぐ、撮影を済ませて。
今日はすぐ解散とした。
内容はさっきと変わらないからね。
言うことも間違えなかった!
色んなことがあったから。
休まなきゃ、明日から普通なんだから。
訳ありで、長らく家に帰っていないから…
細かなところには埃が溜まっている。
いつもならやめて寝てただろう。
でも…今は笑えない自分が少しでも紛れるならって思って。
普段はしない掃除を1時間かけてやっていた。
少しでも気分が晴れるなら。
掃除と一緒に心の闇がなくなるなら。
そう思ったけど…そんな浅いもので僕の想いがなくなるわけがない。
あーあ、辛いなぁ。
好きだった人の笑顔が見れるなら自分を殺せる、って思ってたけど…。
少しは…ショックだな。
僕は、溜まった課題も放って、
ただひたすらに涙を流していた。
命をかけて守りたかった人が、別の人の隣で笑っている。
今となっちゃ、その隣を奪うことなんてできない。だって笑って欲しいから。
だから僕は…
そう言い聞かせた。
言い聞かせなければ…弱い自分が見えてしまいそうだったから。
to be continued…
次回、最終回
______虹の本当の色
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。