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『 …っちゃ 、 おにいちゃん ッ ! 』
「 …ん 、 」
『 起きて !
もうお昼になっちゃうよ ! 』
あれ 、
夢だったのかな 、
おれは"おにいちゃん"なんだ 、
あいつは"妹"なんだ 、
なんだ 、
悲しいなあ 、
.
『 なんで泣いてるの 、 ? 』
「 …え 、 」
自分の頬を触ってみれば濡れていて
生暖かい雫が目からポタポタと落ちてくる
。
「 おれ 、 なんで泣いて っ 、 」
止まることを知らないように
目から溢れ出てくる涙は 、
まるであなたに対する想いのようで 、
冷めることのないコーヒーの様 。
一度口付けてしまえば虜になる 。
甘い時もあれば苦い時もある 。
そんな気がした 。
『 今 、 ハンカチ取ってくるからっ 、 』
やだ 。
行かないで 。
甘いままでいさせて 。
「 あなたッ 、
はなれていかんといて 、 ! 」
おれたちは 、
一生甘いままではいられないの??
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!