玄関であなたを抱き上げてそのままリビングに入って、あなたが作ってくれたご飯を食べている時もお互いの肩があたる程の距離で隣り合わせに座って、あまつさえあなたがキッチンで使った食器を洗っている時も背中から抱きついてと家に来てからずっと離れない僕にあなたは少し呆れている。でも呆れはしても決して離れてとは言わないから、それがたまらなく嬉しくて緩んだ口元が元に戻らない。
朝は行ってらっしゃいと見送ってもらって仕事が終わったらご飯を作って待っている彼女の元に帰って来る、なんて本当にあなたと同棲しているみたいだ。味に不安があると言っていた料理も充分美味しかったし、ほんとあなたって自分が理想とする人を具現化したような存在だと思う。彼女を知ってしまったら他の人なんてどれだけ可愛い人だったとしても目にも入らないし考えにも至らないや。僕はこの子がいい、この子じゃないと無理。
洗い物を終えたあなたに引っ付いたままリビングで一緒にソファーに座ってテレビを見たり、この曲良いんだよーなんて言って動画を見たりしていたら、そろそろお風呂に入って来ますか?とあなたに促された。そこでワンチャンあれば良いなと願いを込めて一緒に入る?なんて言ってみれば答えは勿論ダメで。げんこつは笑う。
名残惜しいけどあなたから離れて先ほど案内されたサニタリールームに入ったら、服を脱いでいる時にふと鏡に映った自分の幸せで緩み切った顔を見て笑ってしまう。こんな緩み切った幸せそうな顔をしてあなたと一緒にいたんだ…と、少し照れてしまう。でも仕方ないだろ、好きでたまらない人と同じ空間で一緒にいるんだから。
バスルームに入ると彼女のシャンプーの匂いがして急激に恥ずかしくなった。これはやばい、中々にくるものがある…
抱きしめるのとキス以外はしないって約束をしたんだから、今回はちゃんと約束を守れよ自分。そう必死に自分の理性に言い聞かせながら体を清めてお風呂を後にした。本当にダメだからなチョンジョングク、欲望に負けるとあの子に嫌われるかもしれないんだぞ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。