第302話

愛が故に
7,294
2020/11/29 15:50



佐久間side



















あなたが刺されてから5日が過ぎた


病室には日に日に増えていくお菓子と花と


変わらず眠り続けているあなた


あなたの分の仕事は俺らが代わりに出てるんだけど


色んな方から「あなたちゃん大丈夫?」って


聞かれて、皆さん心配してくださって、


改めてあなたが愛されているんだって実感した


凄いなぁ、ほんとにあなたは俺の誇りだよ


しかも仕事量が凄い、めっちゃ多い


俺らは9人で分けてるけど


これを1人でこなしてると思うとほんとやばい


プラスで映画やドラマの撮影もあるんだもん


俺より小さくて若いのに、ほんとに頑張ってる


そして今日は事務所に警察の人が来てる


昨日犯人の家宅捜索が行われたんだけど


状況を共有したほうがいいんじゃないかってなって


説明しに来てくれてる


































岩本「わざわざありがとうございます」


警察「いえいえ、では早速なんですがこちらを」


ラウール「え?なにこれ、 」


警察「部屋一面天井も雪風さんの
盗撮と見られる写真が貼られていました」


警察「全て合わせて約2000枚になります」


阿部「2000枚、、、」


警察「その他にも雑誌の切り抜きや
公式写真などもありましたが、、」


渡辺「が、なんですか」


警察「こちらを見て頂ければわかると思うのですが
メンバーの皆さんが写っている部分は
雪風さんを避けナイフで刻まれていました
特に酷かったのがこれです」


『俺だ、』
































出された写真にはローテーブルの上に


セルフィーの時の俺とあなたのツーショットと


俺の部分に1本ずつ


ナイフが刺さっているのが写っていた


なんとなく、こうされることがあるんだろうとは


思ってたけど、実際目にするとキツい


でもさ、もしかしたらあなたも


こうされてるかもしれないんでしょ?


100歩譲って俺はいいとして、あなたはよくない


これあなたに知らせた方がいいのかな


次々と説明されてくことに頭はついていけなくて


頭が真っ白に、いや、ごちゃごちゃしてて


話が入ってこなかった


































警察「雪風さんはまだ眠ったままでしょうか?」


阿部「まだ目を覚ましません」


警察「そうですか、
実は私の娘が雪風さんのファンで、
毎日大丈夫かなって凄く心配してるので」


『娘さんに大丈夫だよってお伝えください』


『俺たちが、何としてでも引き戻します』


目黒「佐久間くん、、、」

































とは言ったもののどうしよう


「佐久間かっこいいじゃん」なんて冷やかされたけど


ほんとはノープランでどうしよもなくて


あなたに起きてって願うだけ


実際にファンの方からの心配の声は届いてるけど


みんなを安心させるのは難しい


今日も仕事を終えて病院に行くと


あなたのご両親がお見舞い来ていた


ご両親の表情は少し寂しそうで胸が苦しくなった


お父さんもお母さんもめちゃくちゃ綺麗で優しくて


努力家でちょっと抜けてて


あなたもその血を受け継いだんだなってよく分かる






































ラウール「あ、あなたちゃんのパパママ」


雪風母「あなたがお世話になってます」


雪風父「流石に心配になっちゃってね」


『お久しぶりです』


雪風母「佐久間くん少しやつれてない?」


『そうですかね、』


雪風母「だめだよ、ちゃんと食べて寝ななきゃ
起きた時にあなたに怒られちゃうよ?」


宮舘「事件の事はお聞きになりましたか?」


雪風父「聞いたよ、今のあなたの事も」


深澤「守れなくて本当に申し訳ないです」


雪風母「謝らないで、皆のせいじゃないからね」


渡辺「でも、こうなったの俺らが
守れなかったせいだから、雪風父「違うよ」」


雪風父「あなたにはこの仕事をする以上
自分の身に起こることは考えて行動しろって
言ってある。それに守れなかったとしても
言えなかったあなたに責任がある」


雪風父「そういう子だって分かってるから
そこを厳しくは言えないけど、」


































そう言われた俺らは何て返せばいいのかわかんなくて


暫く沈黙が続いた


あなたのご両親は「体調に気をつけてね」


と言って名残惜しそうに帰っていった


それからも沈黙は続いて


気がつけばもう帰らなきゃいけない時間だった


少しだけ、ご両親の言葉で救われたけど


やっぱり申し訳なさでいっぱいになる


あなたが刺されてからは楽屋も移動中も


凄く静かで明るさがなくて


ほんとに太陽が消えたように真っ暗


俺だけじゃなくてみんな少し痩せてる


今日ものいつもみたいに俺は泊まり


みんなが帰ったあと、口元が少し動いたと思ったのは


俺の気のせい?














プリ小説オーディオドラマ