監督「一旦休憩入りまーす!」
監督の合図と同時にキャスト達がザワザワと動き出す。
「お疲れ。順調じゃん?」
こちらにやってきた目黒に水とタオルを差し出す。
目黒「あざまーす」
「この後のだっけ?見せ場のシーン」
目黒「はい、ここが1番の勝負所です」
そう言って笑うと目黒は、休憩用の椅子に腰掛けた目黒は台本を読み始めた。
スタッフ「撮影再開しまーす!」
緊張した顔で立ち上がる目黒の肩を叩き、スタジオの隅で撮影を見守る。
大事なシーンが始まるも、役の感情が演じきれていないと指摘され途中でカットが掛かってしまう。
悔しそうに唇を噛む目黒に目線でエールを贈る。
Take2。さっきよりも感情が入っている。
監督「はーいオッケーでーす!」
ほっとした顔でふうと息を吐いた目黒に左手でグットサインを作った時………
不安を煽るような警報音がけたたましい音を上げながらスタジオ中に鳴り響いた……
202X年 8月13日午後4時20分
地震発生まで残り4秒……
「
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!