あなたside
一つの部屋に集まるメンバーから離れ、私は一人廊下のソファーに腰掛けていた。
ふいにソファーが沈む。
きっと照が隣に座ったんだ。
顔は見えないがボロボロになった照の靴が視界に入る。
あ、この靴.......去年の誕生日にさっくんがプレゼントしたやつ........
ふとそんなことを思い出す。
不思議と涙は出ない。
「....何?」
ずっと無言のまま足元を見つめる照に声をかける。
照「...康二が来た。スマホの充電が切れてたみたい。」
「そう...よかった..」
嘘じゃない。康二が無事で本当に良かった。
でも........
照「ゴメン」
「なに謝ってんの.....」
照「....俺が.....止められなかった......」
一点を見つめたまま消え入りそうな声で、照は話し始めた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。