_三里side_
あなたと莉夢が教室を出た後、
論は壁に手を当てて顔を俯かせていた。
アイツ…必死になってたよな…
あなたを莉夢に近づけないようにするために。
きっと何か深い事情があるはずだ。
まぁ俺には分かりそうもないけどな……
すると…
という論の呟きが耳に入ってきた。
○○って誰だ…?
転校生の名前は莉夢じゃないのか?
という疑問が頭に浮かんでくる。
やはり過去に何かあったようだ…
論は莉夢と過去に関わりがあったに違いない。
それにしても、論はあなたのことをそんなに大事に思っていたのか……
前まで男子にも女子にも興味ない奴なのかと思っていたけれど、
ちゃんと論にも"守りたい人"がいたんだな…
まぁ俺と被っちまったけどw
俺は論のことが嫌いなはずだったのに、
今では何故か"ライバル"として感じ取っていて、
"嫌い"という気持ちがやや治まってきた。
まぁアイツから学ばなくてはいけないところも、
少し俺にはあるしな…
と思っていると、論が突然俯かせていた顔を上げ、俺の方を向いた。
相変わらず口の聞き方が悪いところは気に入らないが、コイツにも良いところはちゃんとある。
"論にあって俺に必要なところ"、
見習わせてもらうぜ。
"好きな人"は譲れないけどな。
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追記
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。