無料スマホ夢小説ならプリ小説 byGMO

第22話

我儘
954
2020/05/28 12:10
【川西side】






「あの、実は私……海外留学について考えてて。」







あなたはあの日、ずっと迷っていたことを俺に打ち明けてくれた。
俺はその場で、留学すべきだと言った。

でも、もしかしたら俺は無責任なことを言ってしまったのかもしれない。
自分で行ったほうがいい、と言っていて、胸が苦しくなった。
あなたが留学するか迷っている理由はただ1つ。


俺としばらく会えなくなるから。
俺は水田とかみたいに、女心を読める方ではないし、寧ろ疎いほうだ。
そんな俺でも彼女が迷う気持ちは痛いほどわかる。
なぜなら…

一昔前の自分なら、何がなんでもひきとめていたからだ。

好きな人には、傍にずっといてほしい人だった。

亭主関白な性格からかもしれないけど…。




でも、今回は違う。

好きな人の人生がかかっている。

容易く「行くな」なんて言えない。

かと言って、俺が決める権利もない。
でも、その2択には俺が大きく関わっている。
川西賢志郎
…どうすれば…
水田信二
賢志郎?
名前を呼ばれて振り返る。
舞台衣装に着替えた水田がいた。
水田信二
…なんかあったんか?
川西賢志郎
…いや、まぁ……
水田信二
ええから話してみぃ
と、楽屋の椅子に腰を下ろした。
川西賢志郎
…あなたが、留学するか迷ってるみたいやねん
水田信二
留学なぁ。したらしばらく会えへんもんな。
川西賢志郎
うん、それで迷ってるみたい。
水田信二
お前はそれに対してなんて言ったん?
川西賢志郎
絶対行った方がいいって言ったよ。
すると、水田は呆れたようなため息をついて口を開いた。
水田信二
お前らしくないなぁ
川西賢志郎
え?
水田信二
亭主関白なお前が、大事にしてる子を手放すようなことをするとか気持ち悪いくらいらしくないで
川西賢志郎
でも俺はあなたの将来とかも考えてー
水田信二
真面目すぎんねん
真面目………?
水田信二
ほんまは辛いんやろ。でも賢いから確実な道を選んで、自分の気持ちを殺してんねん


よく言われる。


ー『川西さんは真面目ですね。』

ー『自分の気持ちを表に出さなくて賢いロボットみたい』
水田信二
たまには我儘になってもええんちゃうか?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【あなたside】


ーそんなんで諦めたらあかん!
何度も賢志郎さんの言葉が頭をぐるぐると回っている。
あなた
はぁぁー
机にベタっと張り付いて、先生から貰ったパンフレットを眺めた。


美大の友達も、家族も、みんな行ったほうがいいって言ってるしなぁ…
行かなくても日本で美術の勉強はできる。

でも、行けばもっと自分の可能性を広げられる。
私が旅行の帰りに話したとき、賢志郎さんは迷うことなく行くのを進めた。




ほんのちょっとだけ、胸がきゅっとなった。





私のために言ってくれているんだと解ってた。

でも







でも、少しは止めてくれても良かったんじゃないかなって。

恋愛に疎い賢志郎さんにとったら、『会えない』ということは『そんなこと』で片付いてしまうことなのかもしれない。
我儘だな、私。


だから、あのとき上手く笑えなかった。

きっと、賢志郎さんも賢志郎さんなりに考えてくれてるはず。
だけど……


もし、本心から賢志郎さんが行った方がいいって言ったのなら…
あなた
…行かなきゃだよね。
ー時計の針が12時を回った。



1月25日。
最終決定まであと1週間。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【川西side】
今日のスケジュールは劇場、収録、取材、劇場。

家に帰った時にはすっかり遅くなってしまっていた。
上着を脱いだ時、白い紙が落ちた。
川西賢志郎
これ……水占いの…
京都に行った時引いた水占いのおみくじが入っていた。
川西賢志郎
まだ入ってたんや。取り出すんわすれてたなぁ
……

ペラッ
相変わらず良いとは言えないおみくじだ。
待ち人・・・来ぬ。迎えよ。

恋愛・・・逃す。
家庭…
川西賢志郎
『別離は不幸の根源。共に居よ。』…か
あぁ、あかん。たかが占いや。


…………でもなんやろ。



このおみくじから、凄いパワーを感じるのは。
気のせいかもしれへんけど…




…信じてみてもいいんかな。