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第11話

混ざりあう景色


 つづると手をつないで神社から一歩外に出れば、ここへ来たときとは違い、あたり一面に椿つばきの花が咲きほこっていた。

 私たちを待ち構えていたようにたくさんのほたるが宙をい、狂い咲く椿と合わせた幻想的げんそうてきな景色が目の前に広がる。

高槻 空央
高槻 空央
うわぁ、……奇麗きれい
森園 綴
森園 綴
すごいね。みんなこれを知らないなんてもったいないなぁ
高槻 空央
高槻 空央
けど、どうして椿が?
私が来た時は咲いてなかったのに
森園 綴
森園 綴
そうなの?
じゃあ、妖怪にだけ見える椿をまだ咲かせていたのかな
高槻 空央
高槻 空央
……そっか。
じゃあ、この景色もつづるが居なかったら見れなかったんだね
森園 綴
森園 綴
僕が来た時は蛍なんていなかったけど……。
これは空央あおのおかげかな?
高槻 空央
高槻 空央
えぇ? ふははっ、私そんなことできないよ。
うーん、けどそういうことにしてもらおっかな!
森園 綴
森園 綴
じゃあ、この景色は僕ら二人が一緒にいるから見えるんだね


 私たちは顔を見合わせて笑い合い、またその景色に視線を戻して少しの間ながめていた。




 ガサガサと草むらが揺れて目を見張ると、椿の花をくわえた化けだぬきが顔をだして綴の元へと駆け寄った。

 その後に続くようにビニール傘を引きずった猫又や、町で見かける妖怪たちが綴と私の元までやってくる。

高槻 空央
高槻 空央
あぁっ、その椿とビニール傘!
猫又くんと化け狸くんだったんだ!
森園 綴
森園 綴
椿とビニール傘?
高槻 空央
高槻 空央
あ、綴の居場所が分からなくてね。
ここまで道案内してもらったの!
猫又
ホンマ! 世話の焼けるやっちゃなぁ!
めそめそ泣きよってからにぃ
高槻 空央
高槻 空央
そ、それは言わないで!
森園 綴
森園 綴
待って、空央?
まさか、見えない妖怪についってったの?


 そう私にたずねてきた綴の口元はを描いていたけど、目は全く笑っていなかった。

高槻 空央
高槻 空央
ちょっ、まって!
私も少しまずいかなって思ったよ!?
けど、どこを捜してもいないし、もう見えなくても当てにするしかなかったの!


 無茶なことをして綴が怒るのもわかるけど、私は必死に弁明べんめいした。

 化け狸が綴の首元に巻き付き、怒らないで、とでも言いたげに頬をぺろぺろと舐める。

森園 綴
森園 綴
はぁ……、いや、今回は僕が悪いんだけど、
本当に危ないことは今後もダメだからね?
高槻 空央
高槻 空央
うん!
だから、今回は……ね?
森園 綴
森園 綴
捜しに来てくれたのは嬉しいしお礼を言わなくちゃいけないんだけど、
今回のはさすがに、しばらく許せないかも
高槻 空央
高槻 空央
えぇっ、もぉ~、本当にごめん!
っていうか! 早く帰らないと!!
町中のみんなで綴を捜しはじめちゃってるから!
森園 綴
森園 綴
えぇ!?
本当にごめん。すぐ帰ろう!
高槻 空央
高槻 空央
じゃ、道案内よろしくぅ~!
猫又
かーっ!
都合のええやっちゃなぁ


 そんな文句を言いながらも猫又くんは先頭きって森の中を歩いてくれる。

 鬼火たちが暗闇を照らし、赤子妖怪たちは歩きやすいように草木をみならしていく。



 それでも町までの道のりは長く、やっと辿り着いたのは夜が更けそうな頃だった。

 私の行方まで分からなくなったことで、町では本格的な捜索隊が組まれて動き出していたらしい。

 もちろん、手を繋いで町まで帰った途端、父親と学校の先生から怒涛の説教を受けた。
高槻 空央
高槻 空央
本当にごめんなさい
お父さん
こんなとこで度胸出して、お前まで遭難そうなんしたらどうするつもりだったんだ!?
せめて、森の中を捜しに行く前に一言声をかけるべきだろ!!
下手したら、2人別々な上に帰ってこれなかったんだぞ!?
高槻 空央
高槻 空央
……はい


 わかってる。お父さんのこの怒りも心配からくるもので、私の考えなしの無謀むぼうな行動をいましめるために必要なこと。

 綴が許さないと言ったのも、私が危なっかしいせいだろう。

高槻 空央
高槻 空央
(直さなきゃなぁ)
お父さん
聞いてるのか!?
高槻 空央
高槻 空央
はい!!
お父さん
綴くんもなぁ、まだ慣れてない町の森に1人で入ってくなんて馬鹿なことはやめろ!!
遭難して当たり前だ。それくらいわかるだろ!?
森園 綴
森園 綴
……はい


 その日は綴も私も寝るまで説教され続けた。





 次の日には、2人で町中の人にお礼と謝罪を言って回り、私たちはへとへとになって小川でやすんでいた。

高槻 空央
高槻 空央
綴ー?
森園 綴
森園 綴
なーに?
高槻 空央
高槻 空央
ちょっと、疲れたね
森園 綴
森園 綴
まぁ、……そうだね
高槻 空央
高槻 空央
……椿に会いにいこっか
森園 綴
森園 綴
……空央?
昨日、怒られたの覚えてる?
高槻 空央
高槻 空央
覚えてるよ! ちゃんと反省してる。
けど、椿と約束したでしょ。
また会いに行くって
森園 綴
森園 綴
せめて、もう少し落ち着いてからのがいいと思うよ?


 呆れてそう言う綴を見て、私は素直に思ったことを口にする。

高槻 空央
高槻 空央
夜じゃないし、遭難する心配もないでしょ?
妖怪たちがいるんだから
森園 綴
森園 綴
はぁ……、まぁ、もう危なくはないんだけどね


 隣にいた綴は立ち上がるとビニール傘を拾い上げて私に手を差し伸べる。

森園 綴
森園 綴
日が暮れる前に帰ってこようね
高槻 空央
高槻 空央
うん!


 私はその手を取り、人がいないのを見計らって2人で森へと入っていた。

 もちろん、妖怪たちに道案内を頼んで。