第5話

◎突然は急にやってきて
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2018/09/29 13:26
バイトも終わり、家へ帰る。
もうすっかり夜だ。
ただいまー…
家には誰もいない。いつものことだ。
一人暮らしを初めて、もう4年?ぐらい。


お父さんもお母さんも、私を置いて死んじゃった。


帰ったら、真っ先に仏壇に向かう。
…何で私だけ生きてるんだろうなぁ
毎日、家で1人でいるとそう思う。

お母さんとお父さんは、私をかばって工事中のマンションから落ちてきた鉄筋の下敷きになった。
本当に本当に、良い人達だった。
もっと、感謝しとけば良かったなぁ。
そんなこと考えても、残念ながらもう遅い。
だから私は、精一杯今を生きるしかない。
…さ、ご飯ご飯
別に今日ぐらいカップラーメンでも良いでしょ、お母さん。
両親が亡くなって、精神的に大きくダメージを食らっていた頃。

おばあちゃんとおじいちゃんも少し前に亡くなっていて、身を寄せられる親戚もいない。
ただただ家に引きこもって、泣いてるだけの毎日。



そんな時出会ったのが、Eveさんだった。



Eveさんが歌った、「いかないで」をたまたま聴いて、涙が溢れてきた。
両親が亡くなって不安定になっていた気持ちが、少し楽になった。
Eveさんのおかげで外に出ることができて、
Eveさんのおかげで学校に行くことができて、
Eveさんのおかげで生きることができた。


本当に、Eveさんには感謝しかない。
そんなことを、お湯が沸くまでの3分間に思っていた。
ライブ行きたいなぁー
前からEveさんの出るライブがある度に応募しているのだが、全然当たらない。
飛鳥なんて、Souくんのライブにもう3回も行っているというのに。

カップラーメンを食べながら自分の運の悪さを呪っていると、誰かからLI〇Eが来た。
ん、誰だろ…涼さん!?
てっきり飛鳥からの全く内容がないLI〇Eかと思った。
涼さんからLI〇Eとか明日雪降るんじゃないの?

動揺を隠しきれずあたふたしながらLI〇Eを開くと、
澤田 涼
明日って予定ある?
というメッセージが涼さんから届いていた。
そっか明日土曜日だった!すっかり忘れてた、明日学校行くところだったよ涼さんに感謝!

そしてカレンダーを確認した。特に予定はない。
ないですけど、どうかしたんですか?
よし、送信…っと。
涼さんからLI〇Eなんて滅多に無いから驚いた。
あってもバイトのことだから、こんなことは初めてだ。
…あっ、既読ついた
澤田 涼
良かった。
じゃあ明日一緒に出掛けない?
…え?えぇ!?
まさか、まさか涼さんからお出掛けのお誘いとは…雪が降らなかったら良いけど。

…というか、これってデートになるのか?
デートか、これは!?

とりあえず既読をつけた以上返信しないと。
はい!お出掛けしましょう!
駄目だ、もう文面から喜びがダダ漏れだ。
分かりやすすぎるよ私。
澤田 涼
それじゃあ、明日の11時に駅前で
大丈夫?
はい、わかりました!
何か、夢のようだ。
…そういえば、行き先言われてないな。
まぁ、いっか!
涼さんとお出掛けなんて急すぎて考えられない。
何だか、明日は良い日になりそう。