“さぁ! 今宵もいい子達が勢揃いです!
それではこれより、
オークションを開催致します!”
2回目の光景。
進行者の声。
次々と私と同じくらいの年の人が連れて行かれる。
その人達の顔は全員同じ。
怯えた目。
震える唇。
私は最初…
「おい。行くぞ。」
“さぁ! いよいよ最後となりました!
本日の目玉はこちら!”
スポットライトが私に向けられる。
『おぉ…』
ザワザワする会場。
“美しいでしょ?
実はそれだけじゃないんですよ!
…なんとこの少年!
殺しも情報収集も出来てしまうので
す!”
またざわめく会場。
“それでは、1億円からスタート!”
『5億…! 7億…! 10億…!』
次々と跳ね上がる私の値段。
皆が私を欲しがっている。
『30億!』
『52億!』
だんだん叫ぶ声が減っていく。
『80億!』
会場が静まり返る。
沈黙が続く。
“あといらっしゃいませんか?
それでは!
80億! 80億で落札ということでよろ…
会場のざわめきが頂点に達する。
“ふぇ?”
間抜けな声を出す進行者。
“も、申し訳ありません!
100億! 100億です! これ以上の方は
いらっしゃいますか?”
“カーンッ”
前も聞いた鐘の音。
“100億で落札されました!
落札された方は後で取引場所まで
お越し下さい!”
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!