第5話

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2020/12/06 07:26
光ちゃんが私を好きだと言った日。

あの日以降、無意識に彼を避けていた。
避けてるつもりはないし
話したいこともたくさんあるはずなのに
彼の顔を見るのも彼の声を聞くのも
少し気まずくて、彼の近くにいれなかった。

朝も彼より早めに家を出るようになったし
帰りも彼を待たずに帰るようになった。

そんなある日 ____________
河合 桃香
河合 桃香
ねえ、陽菜
最近光来くんモテモテだね?
モモにそう言われて、私はギクっとした
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
そ、うなん、だ…
河合 桃香
河合 桃香
あれ、聞いてないの?
バレー部長野県予選優勝したから
インターハイ出るんだって
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
聞いてないし、試合見に行ってない…
彼からの連絡も全然返していなくて
インターハイ予選があった日は
一日中勉強をしていた。
河合 桃香
河合 桃香
あの日以降先輩後輩から
毎日呼び出しくらってるよ?
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
へぇ〜
河合 桃香
河合 桃香
田中先生もいいけど、
光来くんのこともちゃんと見てあげなさいよ?
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
何で私が…
河合 桃香
河合 桃香
あんたね〜っ!
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
わかった!わかったから!
ちゃんと、光ちゃんと話すよ…
河合 桃香
河合 桃香
もしかしてだけどさ
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
ん?
河合 桃香
河合 桃香
あの日、私たちの話聞こえてた?
私は俯いて頷くしかなかった。
河合 桃香
河合 桃香
やっぱりか…
あれから喋らなくなったもんね
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
どう接したらいいかわかんなくて…
光ちゃんのことはもちろん好きだけど
ほんとに好きなのは先生で…
河合 桃香
河合 桃香
ほんとにそうなのかな…
陽菜もきちんと向き合ったら
答えがわかると思うけどなあ
とても意味深だった。
(どういう意味だろう?)

____________________

モモに言われたあの言葉がずっと引っかかったまま、放課後になり私は急いで帰りの準備をした。

すると…
山下 環
山下 環
光来!
星海 光来
星海 光来
ん?
山下 環
山下 環
来てんぞ
そう言って扉の方に行く光ちゃん。
そこには学年が1つ下の女の子がいた。

彼はその子と一緒に体育館裏に行った。

少しだけ、嫌だった。
また、告白されるんだ、って思った。
気になって環くんとモモとついて行くことにした。
河合 桃香
河合 桃香
大丈夫?
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
…多分、大丈夫
少し不安だったが、確かめたかった。
光ちゃんへの私の気持ちは本当なのか。
女子生徒
女子生徒
あ、の…
星海 光来
星海 光来
練習あるから、早めにお願いしていい?
女子生徒
女子生徒
あ、はい…。あの!
星海 光来
星海 光来
ん?
女子生徒
女子生徒
中学の頃から好きでした…
私と付き合ってくれませんか…
案の定、その子からの告白だった。
光ちゃんは何て答えるんだろう…
星海 光来
星海 光来
…ごめん、今は付き合えない。
女子生徒
女子生徒
そ、うです、よね…
星海 光来
星海 光来
友達から始めよう。
俺らまだ知らないことばっかりだし
前はきっぱり振ってたのに
今回は友達からって…
女子生徒
女子生徒
はい!是非…!
彼女の名前は 朱莉(あかり)ちゃんというらしい。
その日以降、2人でいるところをよく見かけるようになった。

____________________
河合 桃香
河合 桃香
陽菜、大丈夫?
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
ん、なにが?
河合 桃香
河合 桃香
あの子だよ!朱莉ちゃん?だっけ?
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
光ちゃんが、幸せならいいんだ…
本当はすごく嫌だ。
ずっと隣にいた私の居場所が
なくなったみたいで、悲しくなった。
河合 桃香
河合 桃香
いい子だね、陽菜は…
あんたも幸せになりなさいよ!!
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
ありがとね、モモ…
モモがいれば、いいんだ…
光ちゃんじゃなくても先生がいるから…
私はそう思って過ごすことにした。

_____________________

学祭も一緒に回る予定だったのに、
光ちゃんはその子と回っていた。

後夜祭だけでもいいから
一緒に過ごしたいと思った。
田中 佑樹
田中 佑樹
陽菜
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
…え、あ、はい!
陽菜と呼ばれ、振り向くと先生がいた。
とても愛しい人、好きな人。
____________のはずだったのに

(あれ、いつからだろう…)

いつからか、先生と居ても光ちゃんのことばかり考えている。
田中 佑樹
田中 佑樹
最近元気ないな?
そう言って渡されたのは
大好物のアイスココア。
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
ありがとうございます…
元気、ですよ。いつも…
田中 佑樹
田中 佑樹
星海か?
先生は私の考えていることがよくわかる。
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
べ!別に!
田中 佑樹
田中 佑樹
陽菜。
大切なものは思ってるよりも
近くにあるもんなんだぞ
そう言って頭をポンポンとされた。
その優しさにも、先生の言葉にも
胸が痛くなった。

そんなの最近になって痛いほど実感している。
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
私が好きなのは先生です!
田中 佑樹
田中 佑樹
陽菜、俺も好きだよ、陽菜のこと
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
だから、好きが…!
田中 佑樹
田中 佑樹
そう、陽菜の言う通り
"好き"の意味が違う。
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
何回も言わなくてもわかります
でも、この気持ちは変わりません!
私はそう言って屋上に行った。
学祭が終わり、後夜祭の準備をサボって
屋上に来てしまった。

光ちゃんを誘えないまま、一人で。

うちの高校では
後夜祭を共に過ごした男女は
幸せになれるというジンクスがある。

去年、光ちゃんと環くん、モモと私の4人で過ごしたけど、全員恋人はできず…。
今年こそ彼氏を作ろうと思ったけど
好きになったのは先生だった。
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
…ばか……っ!
私が教室に戻ろうとした時、
ドアの方から声が聞こえ、
私は咄嗟に隠れた。

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