光ちゃんが私を好きだと言った日。
あの日以降、無意識に彼を避けていた。
避けてるつもりはないし
話したいこともたくさんあるはずなのに
彼の顔を見るのも彼の声を聞くのも
少し気まずくて、彼の近くにいれなかった。
朝も彼より早めに家を出るようになったし
帰りも彼を待たずに帰るようになった。
そんなある日 ____________
モモにそう言われて、私はギクっとした
彼からの連絡も全然返していなくて
インターハイ予選があった日は
一日中勉強をしていた。
私は俯いて頷くしかなかった。
とても意味深だった。
(どういう意味だろう?)
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モモに言われたあの言葉がずっと引っかかったまま、放課後になり私は急いで帰りの準備をした。
すると…
そう言って扉の方に行く光ちゃん。
そこには学年が1つ下の女の子がいた。
彼はその子と一緒に体育館裏に行った。
少しだけ、嫌だった。
また、告白されるんだ、って思った。
気になって環くんとモモとついて行くことにした。
少し不安だったが、確かめたかった。
光ちゃんへの私の気持ちは本当なのか。
案の定、その子からの告白だった。
光ちゃんは何て答えるんだろう…
前はきっぱり振ってたのに
今回は友達からって…
彼女の名前は 朱莉(あかり)ちゃんというらしい。
その日以降、2人でいるところをよく見かけるようになった。
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本当はすごく嫌だ。
ずっと隣にいた私の居場所が
なくなったみたいで、悲しくなった。
モモがいれば、いいんだ…
光ちゃんじゃなくても先生がいるから…
私はそう思って過ごすことにした。
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学祭も一緒に回る予定だったのに、
光ちゃんはその子と回っていた。
後夜祭だけでもいいから
一緒に過ごしたいと思った。
陽菜と呼ばれ、振り向くと先生がいた。
とても愛しい人、好きな人。
____________のはずだったのに
(あれ、いつからだろう…)
いつからか、先生と居ても光ちゃんのことばかり考えている。
そう言って渡されたのは
大好物のアイスココア。
先生は私の考えていることがよくわかる。
そう言って頭をポンポンとされた。
その優しさにも、先生の言葉にも
胸が痛くなった。
そんなの最近になって痛いほど実感している。
私はそう言って屋上に行った。
学祭が終わり、後夜祭の準備をサボって
屋上に来てしまった。
光ちゃんを誘えないまま、一人で。
うちの高校では
後夜祭を共に過ごした男女は
幸せになれるというジンクスがある。
去年、光ちゃんと環くん、モモと私の4人で過ごしたけど、全員恋人はできず…。
今年こそ彼氏を作ろうと思ったけど
好きになったのは先生だった。
私が教室に戻ろうとした時、
ドアの方から声が聞こえ、
私は咄嗟に隠れた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。