光来くんと付き合い始めてから1ヶ月。
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春高予選長野県大会が始まった。
モモと環くんには
光来くんと付き合ったことを伝えた。
二人とも「やっとか!」と言っていた。
私たちの元に来たのは朱莉ちゃんだった
友達が急用で来られなくなって
朱莉ちゃん一人で見に来たらしい。
朱莉ちゃんは悪い子じゃない。
とても優しくていい子なんだって
私は知ってる。
実は、後期の委員会が同じで
委員会で集まる度に話すようになった。
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今日の試合は2試合とも2-0で勝った。
現地解散との事で、私は光ちゃんと帰ることになった。
彼の顔が赤くなる。
それがとても可愛いと思ってしまった。
2人で歩くこの時間がずっと続いてほしいと思った。
彼は恥ずかしそうに私の手を握った。
ゆっくり歩いて帰るこの時間が好きだった。
光ちゃんの手の温もりが私の胸を温める。
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次の日の試合も2-0で勝利し
明日の決勝へと駒を進めた。
田中先生はずっと分かってたんだ。
私が一緒にいる時も
光ちゃんのことを考えていること。
光ちゃんの話をしていること。
光ちゃんばっかり見てたこと。
だから、ああ言ってくれたんだと思う。
そう言って笑う先生はとても眩しかった。
私はきっとこの優しさと笑顔を好きになったんだろう。
今日は光ちゃんたちは市内の合宿所で宿泊をして明日の決勝に備えるらしい。
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明日も勝ちますように…
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。