第6話

page 6
583
2020/12/10 13:51
ドアが開き、声が聞こえた
星海 光来
星海 光来
ちょっと待てよ…
もう一人、女の子の制服が見えた。
星海 光来
星海 光来
朱莉!
呼び捨てで呼んでいる。
それにも少し悲しくなった。
飛田 朱莉
飛田 朱莉
星海先輩。
そろそろ返事聞かせてください。
星海 光来
星海 光来
なんの…だよ…
飛田 朱莉
飛田 朱莉
告白の返事です…!
しばらく沈黙が続いた。

(これは聞いちゃダメなやつだ……)
星海 光来
星海 光来
…俺
飛田 朱莉
飛田 朱莉
……
星海 光来
星海 光来
朱莉とは付き合えない…
飛田 朱莉
飛田 朱莉
…っなんで!
星海 光来
星海 光来
あれから色々考えたんだ。
飛田 朱莉
飛田 朱莉
何をですか…
星海 光来
星海 光来
陽菜はどう思うかな、って
飛田 朱莉
飛田 朱莉
また、陽菜さんですか?
星海先輩は幸せになれないままなのに
陽菜さんには幸せになってほしいって…
星海 光来
星海 光来
それでも俺は陽菜の笑顔を見たいんだ
陽菜のそばにいたい。
陽菜を守ってあげたい。
飛田 朱莉
飛田 朱莉
私は星海先輩を幸せにしたい!
星海 光来
星海 光来
朱莉、ごめん…
飛田 朱莉
飛田 朱莉
陽菜さんより
幸せにできる自信あります…っ!!
光ちゃんはどこまでも真っ直ぐだ。
バレーボールにも勉強にも恋にも。
叶わない、負けてしまう
そうなったとしても
彼は諦めずに前に進もうとする。

光ちゃんの真っ直ぐさが好き。
光ちゃんの真面目なところが好き。
光ちゃんが楽しそうにバレーしてるところが好き。
光ちゃんの横顔が好き。
光ちゃんの声が好き。
光ちゃんの笑顔が好き。
光ちゃんの…、光ちゃんの……
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
…光ちゃんの全部が好き……っ
最近、いつもより
光ちゃんのことを考える時間が多い。
何してるのかな、とか
今日は練習なんだな〜、とか
今、朱莉ちゃんといるのかな、とか。
気付いたら光ちゃんのことで頭がいっぱいだった。
(わたし…気づくの遅すぎ…)
ずっと隣にいたのに。
隣にいたからこそ、今いないことが不思議で
不安で泣きたくなるんだろう。

____________________
飛田 朱莉
飛田 朱莉
星海先輩のばか!
大きな声が聞こえ
扉がバタンと閉まる音もした。

(朱莉ちゃん帰ったのかな…)
星海 光来
星海 光来
あ〜!もう…
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
光ちゃん…
私が少し動いた時、後ろに並べてあった
使っていない机に足が当たって音がした。
星海 光来
星海 光来
誰か…、いるのか?
(やば…!)

なるべく音を立てないようにもう一度隠れた。
星海 光来
星海 光来
誰もいない、よな…
光ちゃんは確認して
屋上から出て行った。

馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
セーフ…
あれでもし見つかっていたら
どんな顔をして彼に会っていたのだろうか。

でも、もうすぐ後夜祭が始まる。
光ちゃんを誘えないまま
2年目の後夜祭が始まる。

最後にもう一度、誘ってみようと思い
ケータイを開くと、充電切れのマーク。
馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
終わった…
後夜祭が始まるアナウンスが聞こえた。
みんなグラウンドに集まっているだろう。
屋上は開放されているが、来る人は少ない。

私は屋上のベンチに座って花火を見ることにした。

_____________________

hoshiumi korai side...
_____________________

朱莉に告白され
学校祭も一緒に回ることに。

朱莉と過ごす時間は普通に楽しかった。
でも、朱莉といる度思い出すのは陽菜のことだった。

最近話ができてない。
まともに顔も見ていない。

陽菜のことばかり考えていた。

そんな時、朱莉に
後夜祭も回りたいと言われ連れてこられたのは屋上。

そこで、返事を聞かせてほしいと言われた。
俺は付き合えないと言った。
星海 光来
星海 光来
あ〜!もう…!
陽菜のことばかり考えてしまう。
陽菜には好きな人がいるのに。

____________ ガタッ

音が聞こえた。
誰かいるのかと聞いてみても返事はない。
もうすぐ後夜祭も始まるし
そろそろ降りようと思い、グラウンドに戻った。

_____________________
山下 環
山下 環
あ、光来!
星海 光来
星海 光来
どうした?環
河合 桃香
河合 桃香
光来くん!!
桃香が慌てて走ってきた
河合 桃香
河合 桃香
ひ、陽菜…知らない?!
星海 光来
星海 光来
陽菜?
河合 桃香
河合 桃香
さっきから探してるんだけどいなくて。
連絡も繋がらないし…
星海 光来
星海 光来
え…
山下 環
山下 環
手分けして探そう…
河合 桃香
河合 桃香
うん!私は教室…
山下 環
山下 環
俺は、とりあえず2階全体探してみる!
星海 光来
星海 光来
俺は…
(そういや、あの時、誰かいたな…)
星海 光来
星海 光来
俺は屋上に行く
山下 環
山下 環
は?!屋上!?
河合 桃香
河合 桃香
なんで?
星海 光来
星海 光来
誰か居た気がしたんだ。
もしかしたら…陽菜かもしれない。
河合 桃香
河合 桃香
わ、わかった。
山下 環
山下 環
じゃあ、行こう
____________
もしあそこに居たのが陽菜なら
俺はなんて声をかけよう。

久しぶり?元気だった?
いや、そんなんじゃダメだ。
もっと、陽菜が安心できるような…

_____________________
hoshiumi korai side end...
_____________________
後夜祭のメインである花火が打ち上がった。

(はあ、今年はひとりでこの花火を見なきゃいけないのかあ…)
夏だというのに少し風が冷たく感じた。

光ちゃんを好きだと気付いて
光ちゃんに会いたいと思った。
今すぐ中の気持ちを伝えられるわけではないけど、今まで以上にちゃんと向き合える気がした。

馬渕 陽菜
馬渕 陽菜
光ちゃん…っ
____________ ガチャ
ドアが開いた。
そこに居たのは光ちゃんだった
星海 光来
星海 光来
陽菜!
どうして…
どうしてここに、きたの…?

プリ小説オーディオドラマ