第13話

盲目の恋の行くへ と デートの約束
64
2020/08/14 23:33

恋文筆弁士の仕事を数多く、こなして来たヤツメだが、答えなき難題が…

 多過ぎるんだ




 
二十代後半の娘
二十代後半の娘
私ね、この近くのガン専門医院で働いてる
看護師なの
フーーン
なるほどそこで、俺の事を知ったのか…

 そう、彼女は一週間前、ここに訪れたあの中年の男性から、恋文筆弁士の事を耳し、ヤツメに助けを求め、訪れていた。
ヤツメ
ヤツメ
手伝ってやりたいが、あまりにも情報が少ない

 色々聞かせてくれないか
彼女は、目を閉じゆっくりと話し始めた
二十代後半の娘
二十代後半の娘
私の彼氏はね、初期のガン患者として手術の為に、入院したの…
その時彼女は、思いもよら無い、彼の優しさに触れ、患者とは思えないほど、紳士的な振る舞いに、心を奪われだと言う

彼の手術は、無事成功する。「私達は、ゆっくりと愛を育んで行く事を約束したの」「二年半かかったわ」「私の両親を説得するのに」「母親は、何故わざわざ、大変な道に足を踏み入れるのと言い」「父親は、辛い思いをお、前にはさせたく無いと言う」
 「そんな二人を、私は必死で説得したの」「両親が、頷いてくれた時」「本当に嬉しかった」

それから半年の月日を重ね、彼等は明日、はれて婚約の日を迎える筈だったと、、、


 だが、その数日前に、彼等に悲劇が襲いかかる。


 残念ながら、彼氏の病気が再発してしまい

 彼の親は、彼女の事が、余りにも気の毒に思い、婚約を解消する事を決意する。



 
二十代後半の娘
二十代後半の娘
それでも私は諦めるつもりは、無いの
 彼女は、病気の彼氏の励みと、自分の幸せ為に、僅かな希望に掛け、結婚を決意する。

 「何とか私と、彼との愛を」「つなぎ止めてくれませか」「恋文筆弁士のあなたの力で」「お、お願いです」
 彼女は、震えた声で、祈る様にヤツメに依頼する。

 今にも失いそうな、希望光を、恋文筆弁士のヤツメに託す。

 「三日貰いたい」そう言うと、ヤツメは、この無理難題とも思える依頼を、引き受ける。

 
 彼女が、この家を去った後、すぐさまヤツメは、古い書物を手当たり次第読み返す。「盲目の者に、恋文をか」「厳しな」「何とかしたい」「どの本にも、ヒントすら無い」

 今日は、文華との初めてのデートの約束が有った。
「約束の時間まで、後二時間か」「まだ出かけなくても大丈夫だな」「もうちょい探して見るか」

 ヤツメはそう言うと、再び書物を大量に保管する居間に、足を運そび、数多く書物の中より、一冊の本を手取り目を輝かせる。
 ヤツメは、時間を忘れ、その書物を必死になって読み解き始める。

 その時
 寒空の下、絶対にヤツメは来ると、信じて、待つ文華、、、
 

 

 
文華
文華
 遅いな、熱々の缶コーヒーが…

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