ヤツメも、笹田同様に、彼女の瞳を覗き込んでいた。
この時、ヤツメは笹田の心に抱える、今にも溢れ落ちそうな闇を、見抜く
ヤツメはニヤリと微笑み、笹田に優しく声を掛ける
この時笹田は、困惑した顔をみせるがしがし、ヤツメは笹田の心に抱える闇を見抜き、自分の持つ力で、その闇を取り除く事を、決意する。
ヤツメは、そう言うと、布巾の上にすすりを置き、水を数滴垂らし、心を無にして、墨をすり始める…
その所作は、とても綺麗で、何処か凛とした空気を、放ってた。
そしてヤツメはおもむろに、一本の怪しげな模様が描かれた筆を、手に持ち、目を見開き、大きく深呼吸したのちに、力強く発し始める。
ヤツメが持つ筆が、何かの音楽でも奏でるかの用に、滑り始める。
滑らかで力強い文字と共に、綺麗な紋様を描く
ヤツメが書いた文字には、力がある、目には見えないその力が、時として人の心を奪い去る。
奪い去られたその心は、その文字の虜になり、心に新たな光りを灯す。
・・・
でも…
・・・
彼女のこの涙は、当然過去の物とは違い、喜びの余りに、涙が出たのでたので有るが、これこそが、筆がもたらす文字の力で、笹田の心より霞みが取れる。
ヤツメはそう言い放ち、再び霞み取れたその瞳を、覗き込む
そしてヤツメは、笑みを浮かべ
実は、彼女は幼い頃より、心に想う人が居たのだが、二十歳の翌日のあの夜より、心の奥底に秘め隠し、八年間過ごしていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。