第25話

約束と…
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2020/10/06 13:00
ヤツメと文華は、お互いの事を考えて思い、交換日記を書き、そして手渡す。

 もう何度この日記を交換しただろう、たわいない日常の出来事を、ただひたすら書き進めるだけ、しかし彼等にとって常に新鮮で、飽きる事無く、毎日、毎日このノートに思いを重ねる。

 そして、二人の愛を吹き込んだその文字は、途切れる事無く、季節をついやし、今文華は、高校生活最後の夏休みを迎え様とする。
 

 「暑いね~健一君」
 
 梅雨明け、青空が続き、蝉の鳴き声が、辺りに突き刺す中、一学期の終業式が終わり、帰り道、健一と文華は、この夏何をするか、話していた。

 「文華さんは、この夏どこか行くのですか、ヤツメさんと、海とか、山とか、行かないのですか?」

 「うん、今の所どこにも行く予定無いな~」「健一君は、どこか行く予定有るの?」

 「はい僕は、歴里さんと、近くの神社仏閣巡りに行って来ますよ」「あとね、登山の計画中ですよ」

 「ヘェ~山派なんだ」「いいな、私は海に行って見たいな」

 「文華さんも、ヤツメさんに頼んでみたら、どうです?」

 健一と何気に話していた事がキッカケで、文華はヤツメに、海に行きたいと、せがみ、拝み倒し、約束をこぎ着ける。

 文華は、満面の笑みを浮かべ
 「本当、やった」

 「じゃあ次の休みに、海に行こうね」「決まりだよ」「絶対だからね」
 
 「約束だよ」

 文華はヤツメに、甘い缶コーヒーと、交換日記をいつもの様に渡し、やや強引に、五日後に海行く約束をし
 足早に家に帰り、よほどヤツメと海に行くのが、嬉しいのか、自分の部屋で、ご機嫌に鼻歌を歌いながら、水着を試着し始める。

 「あ~早くこれ着て、ヤツメさんと海で、泳ぎたいな~」
 
 文華は、五日後の約束が、よほど嬉しいのか、何度も全身を映すスタンドミラーの前で、ティシャツを羽織ったり、いろんなポーズを取ったり、ついにはリボン付きの可愛い麦わら帽子をかぶり、ポーズを取り、五日後を想像し、ニヤけ始める。

「ふふふ」

 
 一方ヤツメの家では、ヤツメとミコトが、文華の瞳の中の、悪しき力を持つ、もののけの話しをしていた。

 「ヤツメ様、文華ちゃんの瞳見ましたか」「気のせいか、影が大きくなっていたと思いましたが」

 「確かに、デカくなっていた」

これは、最近文華が、涙した#証__あかし__#なのだが、ヤツメには、心辺りはなかった。

「実は、近頃文華ちゃんが書く文字には、筆圧が、低くなっている」「文華ちゃんは、俺に何かを隠している」

 「俺には言えない、何かをな」




 五日後、 暑い日差しが降り注ぐ中、ヤツメは近くのバス停で、汗をぬぐいながら、文華を待つ

 「文華ちゃん、遅いな」「何か有ったかな?」「約束したのに、、、」

「まさか!」

 ヤツメは、海に行き、文華に何が有ったのか、なにげなく聞き出すつもりだった。

 彼女の命を守る為に

 しかし、文華は約束の時間になってもその姿を見せる事は、なかった。

 
 実は彼女は、待ち合わせ場所に来る途中、吐血し倒れ込み、救急車で病院に運ばれていた。

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