季節は移り変わり、寒い冬が到来し、北風が冷たさを増し、木の葉を舞い散らす。
それでも彼等の愛は、冷める事など無く、二人は、優しく温もりを分け合う
街には、イルミネーションが点灯され、恋人達は、鮮やかな光の下で、愛を語り合う
「きれい~」「素敵ね、ヤツメさん」
「そうだね、これだけの電球で、街を彩ると、圧巻だな」
「去年もこんなに、綺麗だったかな~
」
二人は、ちゃんと付き合う様になって、初めてのクリスマスを過ごす。
この季節いつもは、手袋をして来る文華だが、今日に限って忘れたていた。
そのせいで、手がかじかみ両手を合わせ、少し膨らませ、息を吹き込む
「ハァー、ハァー」「寒いね~ヤツメさん」
ヤツメは、その姿を見て文華の片手を、手袋越しに優しく握り、自分のコートのポッケットに入れる。
文華に向かって、ニッコリと微笑み、もう片方の手袋を、差し出す。
「ありがとう、ヤツメさん」
文華は、明るい声で、礼を言うと、巻いてきたマフラーをソッとヤツメの首に掛け、ニッコリと微笑みのお返しをする。
「ありがとう、文華ちゃん」「ちょうど首が、寒かったんだ」
彼等は、いつも自分の事より先に、相手の事を一番に思い、そして絶対に傷付ける事などしない、二人共、文華の寿命が、余り無い事を、心の何処で、ジンワリとさとっていたからかも知れない
二人は、お互いの優しさで、心を温めながら、イルミネーションの写真を撮り、思い出を一つ重ねる。
そして、ヤツメの家より二十分程歩いた所に、イタリアンのお店が、有るのだが、二人そこで、食事をし始める。
そのイタリアンレストランは、オシャレでちょと高級感があり、文華は、何処と無く、落ち着かない様子を見せる。
「私ね、こんな店初めてなの」「お値段高そうですよ、ヤツメさん無理してない、大丈夫?」
「当然大丈夫だよ」「そんな心配しなくてもね、これでも一応社会人だからね」 そう言い終えると、ヤツメは、文華に少し顔を近づけ、周りの人に聞こえない様に、小さな声で、話しかける。
「でもね、俺も実はこんなところ初めてなんだ」
「ちょと緊張するね」
ヤツメのこの行動が、緊張する文華の心を、ほんの少し和ませる。
彼女も又、ヤツメに近付き、周りに聞こえない様に、「ちょと処じゃないよ」
「ガチガチで、手が震えるよ」
文華のこの行動が、ヤツメの心を優しく和ませる。
ヤツメは文華の為に、ちょと奮発して、この店を十日程前から予約していた。
ある目的の為に、、、
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。