第12話

手紙
182
2021/05/25 12:39
うらたside
浦田 渉
カタカタカタカタカタ…
坂田 優
うらさん…
浦田 渉
ん?
坂田 優
志麻くんのこと…大丈夫なん?
浦田 渉
あぁ…もうそんなたつのか。
黄百合センラが亡くなり、月崎志麻が倒れてから丁度1週間だ。
月崎の方は、命に別状はないものの、以前と比べるとだいぶ具合が悪そうだ。
元々痩せ型だったのがやつれたせいでさらに痩せ、目も虚ろな目をしている。
坂田によると、食事もろくにとってないと言う。
坂田 優
センラからの…渡した方がええんやない?
浦田 渉
あれは…まだダメだ。
センラから言われた時まで待たなきゃ。
坂田 優
でも…志麻くんの様子みてて放っておけへんよ。なんかできることないんかな。
浦田 渉
…そうだな。
よし、あれは渡せないがちょっと行ってくる。
坂田 優
おん。
病室
浦田 渉
コンコン
月崎さん
月崎 志麻
病室を開けると、月崎がベットに座って窓の外を見ていた。
浦田 渉
具合はどうですか?
月崎 志麻
浦田 渉
(やっぱ…相当弱ってるな。)
パティシエの専門学校にも通ってないと聞く。
このままでは、センラの後を追いかねない。
浦田 渉
…月崎さん、これを。
俺は胸ポケットから1枚の封筒を取り出した。
月崎 志麻
なんですか…?
浦田 渉
センラから…あなたへの手紙です。
月崎 志麻
えっ…
月崎 志麻
手は…動かないはずじゃ…
浦田 渉
今朝ポストに入ってました。
月崎が手紙を受け取り封を切る。
志麻くんへ

君がこの手紙を読んでいる時、俺はもうこの世にいないだろう。
でもね、心は何時でも志麻くんの隣にいるよ。何時も見守ってる。

今日は何の日か覚えてる?志麻くんの誕生日だよ。
これから毎年、志麻くんの誕生日に手紙書くね。楽しみにしてて!
今年は俺の考えたケーキのレシピを書くね!

18歳の誕生日おめでとう。
月崎 志麻
センラ…
浦田 渉
俺からも、18歳の誕生日をお祝いさせてください。
俺が渡したのは紫色の薔薇のバッチ。
浦田 渉
それ…ケーキのお礼とでも思ってください。
月崎 志麻
…ありがとう…ございます
月崎 志麻
俺、頑張って見ます。
センラから貰ったこのケーキ…作れるように。
月崎の顔が笑顔になった。
なんだ。ちゃんと笑えるじゃん。

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