志麻side
バタバタバタバタバタ…バンッ!
病室のドアが勢いよく開いたあと、目に飛び込んできた光景…
たくさんの管に繋がれ、口に酸素マスクをつけられている虫の息のセンラだった。
昨日の喜びから、一気に地獄へ引きずり降ろされた。
センラの目が開いた。俺に気づくと、ニッコリと微笑んだ。
うらたを見ると、驚いた顔をしていた。
酸素マスクのせいで、すごく小さい声だった。
センラが俺に手を伸ばす。
センラの近くに行き、伸ばされた手をぎゅっと握った。
ポロポロとセンラの目から涙が零れる。
センラの声が前よりもか細くなる。
泣きながらセンラの手を固く握る。
センラの手が俺から滑り落ちた。
それと同時になる甲高い電子音。
センラの体を揺さぶりながら、俺は泣き叫んだ。
センラは、いくら名前をよんでも、もう答えてくれはしなかった。
バタッ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。