この時、私は内心恐れていた。
ひと目見た瞬間からコイツが最強な男、「五条悟」だとわかったからだ。
逃げよう。とにかく逃げよう…。
たとえ、手足を引き千切られても!!
私が走り出した瞬間、五条悟は私を後ろから首を締めた。
その名前は私が何度も呼んだ名前だった。
「夏油傑」
この方は私の命の恩人でもあり、ボスでもある。
きっとコイツは夏油様を殺そうとしているんだ…
コイツは更に私の首を締めた。
その言葉を最後に私の視界は真っ暗になった。
------✂切り取り線
目を開けると、まず最初に見たのは髪を指に巻き付けながらスマホを見ている女の人だった。
そして、消毒の匂い。
まるで保健室みたいだ。
ここはどこだろう?
呪術高専。
それは夏油様に頼まれて何度も情報を盗み出していた場所。
そして、呪術師の中心となるところ。
呪詛師の私がなんでこんなところに…?
私はここで思った。
今ここで名を名乗り処刑されるより、ここに長くいて、色々な情報を盗み出したほうがいいと。
私はその場で作った名前を名乗った。
私、今年で24だぞ?何いってんだ?
そういって、私にタブレットに写る私…ではない誰かを見せてきた。
そういって、私に鏡を渡した。
そこに映るのは箕島揶揄とは違う、さっきのタブレットに写っていた人の顔があった。
そこで思い出した。
私、「五条悟」に殺されたんだった。
じゃあ、今私は…
転生したってこと?
-----✂切り取り線
next➛
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。