第6話

仲良し四人と新たな知識
1,847
2021/01/15 10:16
 もう一度視界が戻ったら、そこは廊下だった。
エース
え? え!?
なにこれすっげーじゃん!!
グリム
かっけーんだゾ!
学園長
さあ、早く教室に入ってください。
あなたくんはグリムくんのこときちんと見張っておいてくださいよ?
あと、足を安静に!!
あなた
わかりました。
 僕はそう告げて、できるだけ痛くないようにそっと歩く。
 開いてる席は沢山はなかった。
 前の方ががら空きで、後ろの方は1席しか開いてなかった。
グリム
オレ様後ろが良いんだゾ!!
あなた
はいはい、前に行きましょうねー。
エース
ちょっなんでオレまで!?
あなた
なんとなく?
 前の開いている席の隣には、デュースが居た。
 デュース、君は一番最後まで僕の隣で守ってくれた…。
 今までのことを思い出して。
あなた
でゅっーっんん、隣の席良いかな?
デュース
ああ、構わない。
 危なかった、名前を言うところだった…。
 前回との記憶がごっちゃにならなければ良いんだけれども…。
 とりあえず、座る。
デュース
名前を聞いてもいいか?
あなた
僕は、あなた。
エース
お? なになに?
自己紹介してんの?
グリム
オレ様はグリム様なんだゾ!!!
エース
オレはえー
クルーウェル先生
子犬共席につけ!
今日は施設案内だ。
エース
ちえー、タイミング悪ー
デュース
前を向け
クルーウェル先生
全員、廊下に並べ!
順番は適当で構わない。
 そう言われて外にでる。
 僕はエースとデュースの後に着いて行く。
 ああ、こうやってもう一度、一緒に歩くのは前回ぶりだ。

 前回とは全く違う進み方。
 初日から僕たちはナイトレイブンカレッジの生徒として入っている。
 雑用係としてじゃない、生徒として。
 リドル先輩のオバブロが起きなければ良いんだけど…。
 本番はエースがつまみ食いするところからか……。

 本当に初めからやり直してるのか…。



 食堂ー昼ー

 そのまま、施設紹介があった。
 そして、昼になり、解散。
 僕はこのイベント自体に参加してなかったから、新鮮だ。
 今まで繰り返してきた中でもこれは初めてのことだ。

 僕は食堂へと向かった。
 何気に後ろから、エースとデュースも着いてきてくれてる。
 デュースは何となく分かるとして、あのエースが!?
 ツンデレか???((
デュース
かなり人が多いな…。
どこか開いてると良いんだが…。
エース
あそことか開いてんじゃね?
あなた
そうだね、ここは早めに取らないと食べる場所がなくなる。
グリム
よーっし!
早めに席に行って昼飯食うんだゾ!
デュース
よし、無事に座れたな。
グリム
子分!
オレ様、うまいもんいっぱいが良いんだゾ!!
エース
オレはうまそうなパスタねー!
デュース
僕はーって、一緒に行ったほうが良いよな?
あなた
どっちでもいいよ。
ただ、手が足りないかもしれないというだけで…。
デュース
じゃあ、僕も一緒に行こう。
 そう言って、デュースは着いてきてくれた。
 そういえば、一応、今回はまだ名前が聞けてないんだった。
あなた
そういえば、名前聞いてなかった。
ちなみに、ハートのスートのつんつん髪の人がエース・トラッポラ。
デュース
ああ、忘れていたな…、僕はデュース、デュース・スペードだ。
同じクラスだし、毎日顔を合わせると思うからよろしく。
あなた
うん、よろしく。
 デュースは自分がいるものとエースのやつを。
 エースのは、多分デュースのチョイスでカルボナーラになってる。
 デュースは相変わらずオムライスだ。卵料理好きだよな…。
 僕は、グリムが前回からずっとお気に入りだったハムカツサンドとツナサンド、
 あと、鶏肉のグリルと、まあ、色々を持って戻る。
グリム
おおお〜〜!
うまそうなんだゾ!
エース
お、これカルボナーラ?
ちょーうまそうじゃん!
どっちが選んだ?
あなた
デュースが選んだ。
エース
へー、デュースって言うんだ。
オレは、エース。
デュース
ああ、あなたから聞いた。
よろしく。
グリム
そんなことよりも、昼飯だゾ!!!
子分! これはなんなんだゾ?
あなた
ハムカツサンドとツナサンド。
僕が昔から好きなやつ、食堂でのこれはほんとに絶品。
グリム
ほんとうか!?
はぐはぐ……。
エース
てか、あなたのとこにランチが置いてないけど後で取りに行くわけ?
混むから早めに行ったほうがいいと思うけどー
あなた
え、別に僕は食べにないけど。
デュース
いや、冗談だろう?
流石に食べないとまずいだろ…。
エース
はあ〜〜〜!?
ちょ、食えって!
まじのやつで死ぬから!!!
グリム
少食にも程があるんだゾ!
コイツ朝飯も食ってなかったんだゾ!
あなた
いやいや、なんでそんなに必死なのさ?
今までこれで生きてきたから問題ないよ。
エース
「問題ないよ」(声真似)
じゃねーわ!!
優しいオレが奢ってやる、待っとけ!
あなた
え、食べられないって!
お腹すいてないし、問題ないって
デュース
ひょろひょろじゃ相手になめられんぞ!
グリム
そーだゾ!!
オレ様の子分なら飯を食うんだな!
あなた
いらない、いらない。
てか、子分じゃない。
 なぜ、みんながこんなに食べろと要求するのかわからない。
 これが当たり前だったのに…。
 夜ご飯が食べられれば一日生きていけるのに…。
 逆に食べ過ぎじゃないの?
エース
はーい♡ これで貸し一個ね?
オレオススメのチェリーパイ!
デュース
いや、エースそこはもっと炭水化物とタンパク質が高いものを選んでこないと!
エース
食べることが重要なの!
だから、食べてねもやしのあなたくん!
 おっと、エースからの圧がすごい…。
 どうしたものか…。
 それにこんなもの見たことない………って
 前回の記憶の中にエースの誕生日のときに見た記憶があるっぽい。


 でも、今回の僕はまだ食べてないし、美味しいのかどうかもわからない…。
 確かチェリーパイってエースの好物だったはず?
 他人からの善意なんて触れたことなんて基本的になかったからな…。
 まあ前回の記憶や前々回を除いてだけど。


 さあ、どうするか。
 未知の味に挑戦するか。
 一日二食も食べて大丈夫なのか知らないけど、いいか。
あなた
じゃあ、食べてみようかな?
デュース
やっと折れたみたいだな。
グリム
最初から大人しく食べてればいいんだゾ。
 ちょっと、手を震わせながらフォークを手に取り、チェリーパイに突き刺す。
エース
ええ!? 刺して食べんの!?
あなた
え、刺せば食べれるだけでしょ…。
エース
手で食べるもんだと思ってたもんだから…。
お前の地元ってそう食べんの?
あなた
知らないよ。僕、このパイ?
っていうやつ食べるの初めてだし…。
デュース
珍しいな。
エース
この15,6年間食べたことなかったの!?
もったいねー。
グリム
お前達、食べねーんだったらオレ様がもらってやるんだゾ!
あなた
こら、グリム!
机の上で立たない!
 僕は一言そう言ってから、フォークをパイから抜く。
 これは手で食べるのが正解なんだろう…きっと。
 手で掴む。
あなた
ん…!!!
もぐもぐ……。
エース
お?
あなた
なにこれ!? これ超うまい!!!
デュース
それはよかったな。
エース
じゃあ、カルボナーラも食っとけ!
 そう言って、カルボナーラを口に突っ込んできた。
 チェリーパイの少し甘酸っぱいスイーツらしい(?)味から一気にまろやかな味になる。
あなた
んぐぐっっ!
なにこれ!?!?
グリム
おまっ! 無理やり突っ込むからなんだゾ!?
デュース
怒ったんじゃ…
あなた
すごくおいしい!!
初めて食べた、このパスタ?っていうやつ!
エース
え!? パスタも!?
お前ん家どうなってたんだよ……。
 僕の家か…。
 僕は普通と思ってたけれども異常だったみたいだ。
 勉学で常にトップにいないとダメ。
 トップでなければ、浴びせられるような暴言と暴力、夜ご飯でさえ食べられなかった日もあった…。


 しかし、そんなことを話して空気を盛り下げたくはない。
あなた
まあ、ちょっとだけ変わった家の事情があってさ。
デュース
そうか…。
お前も大変だったな。
エース
お家の事情ですか…
はあ、一応言っとくけど、一日三食!
これ常識だから!
あなた
え、三食?
そんなに食べられない…。
エース
いやいや、食べないとひょろひょろのまんまだから!
デュース
何かあったときに自分自身を守れないぞ。
あなた
わかったよ…善処してみる。
 優しい。
 出会って一日でこんなにも優しかったっけ?
 もっと、煽られてた気がする。
 ランチのことも特にキにされてなかった気もする…。
 前回は…確か、優しさを感じたのスカラビア寮でのジャミル先輩のオバブロの後、
エースとデュースがわざわざ乗り継いで来てくれたことからだっけ?

 前回と進み具合が全然違う。
 もしかしたら、リドル先輩のオバブロも先送りにされてるかもしれない。
 できるだけ、慎重に行動しなければ。
 リドル先輩のオバブロを抑えられればこの先のオバブロを抑えられるかもしれない。


 そんなこんなでランチを終えた。


 僕は調べ物をする……
 という建前で

 前回や前々回の記憶が新しく入った頭の中を整理するために、
 これから先に起こるオバブロの阻止方法を探るために
 図書室に向かうことにした………




 はずだった。

 図書室ー昼ー




あなた
なんで二人とも着いてくるのさ。
エース
えー、だって、寮に帰ってもルールが厳しそうだし?
デュース
寮に帰っても、することが特にないんだ。
グリム
オレ様はあなたと二人で一人の生徒だから仕方ないんだゾ!
あなた
どうして他の生徒たちと絡めばいいじゃん…。
僕と関わっても楽しくないでしょ。
エース
そーんなことねーし?
あなたってさ面白いじゃん
デュース
まあ、今日は他の生徒と喋ってないから、あなたたちといればいいと思ってな。
あなた
はー、まあ、邪魔はしないでよ?
あと、調べ物終わったら僕は寮に帰るから。
エース
じゃーオレも寮に着いてくー。
あなた
は!?
寮に帰らないと寮長に怒られるだろ…。
デュース
さすがに僕は遠慮しとこう…。
寮長が怒ったら怖そうだ…。
グリム
オレ様は合法なんだゾ!
あなた
いや、グリムにはなんにも言ってない!
エース
なんと言われようがオレはついて行くけどねー。
グリム
あ、あなた、そういえばお前学園長のところに行かないと
怒られちまうんだゾ!
あなた
え、あ、忘れてた!
やばい、遅刻?
今何時?
デュース
今は…、14時だ。
何時からなんだ?
エース
確か、16時とか言ってたよな、学園長。
あなた
よかった。じゃあもう、20分くらい前に移動すればいいか。
デュース
そういえば、その調べ物?
僕たちも探すのを手伝おうか?
エース
それいいじゃん!!
デュース
そうと決まれば、何を探してるのか聞かせてもらおう!
何でも言ってくれ。
 あー、まずい、言い訳を…。
あなた
嬉しいんだけど、かなーりデリケートな内容だから…さ…。
ありがと。ニコッ
 控えめにかつばれないように作り笑いを浮かべる。
 もう慣れたもんだ。

 二人の方を見ると固まってる。
あなた
おー? どうした?
エース
な、なんでもねーし!?
デュース
いや、なんでもない…//
力になれなくて不甲斐ない…なと思って……。
 揃いも揃ってこいつらは何なんだ…。
デュース
静かにするから、頑張ってくれ。
エース
まあ、そういうこと!!
 エースが動揺してるなんて珍しい。
 確か、前々回でしかこの慌てっぷりは見てない。
 僕はなにかやらかしたのだろうか?
 まあ、そんなことは気にせずに、棚に向かう。


 まずは、ハーツラビュルで厳格に守られているハートの女王の法律全810条の本。
 思っていたよりも分厚かった。流石、810条。
 次に、ブロット、オーバーブロット、魔法、魔法石についての本。
 ツイステッドワンダーランドでのマナーについての本。
 ツイステッドワンダーランドでの常識、小話、言い伝えに関する本。
 グレートセブンについてと生前に関する本。
 魔法薬学に関する本。
 世界の地理や各地域の伝統文化についての本。
 などなど…。

 とりあえず、約10冊ほど借りた。

 そして、図書室の座れる場所(エースたちが場所をとってくれた他の人から見えにくい場所)
 に持っていって座る。
エース
うげえ、よくそんなに読めるよな…。
あなたって真面目くんみたいな感じ?
デュース
僕もそれくらい頑張れるようにならなければならないと…。
 ちなみに表紙は見えないようにしている。
 席は

 デュース|僕|エース

 みたいな感じに挟まれてる。
 グリムは僕の座っている椅子の下で寝ているみたいだ。
 グリムはやっぱり猫なのか?


 僕はメモ帳を取り出した。

 教科書の中に埋もれてたもので使うと思って持ってきて正解だったみたいだ。
 これまでの内容を整理する前に一つ疑問を解決させたい。
あなた
そういえば、さっきエースさ、焦ったんだ?
エース
何の話?
あなた
僕が、デリケートな内容って言ったときに…。
エース
そりゃ誰だって焦るだろ!
デリケート=地雷だろ 大体…。
 あー、そういうことか…。
 まあ、半分あってるけど、バレたのならバレたで結末を変えるための協力者に
 引き込むつもりだから問題はない。
あなた
まあ、地雷じゃないから安心してよ。
バレたら引き込むだけだからさニッコリ
エース
あのー、あなたさん?
怖いですよー?
あなた
へへへっ。
エース
っっっっ!?!?////
 まあ、静かになったところでメモをちぎってどんどん書いていく。

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