第12話

魔法初心者は少しばかり闇深い?
1,492
2021/05/22 08:52
 残り……5周。

 マジで死にそうなんだが??
 これなら殴られる方がマシかもしれない…。
 息ができない。
エース
おーい、あなた!
一旦休め!!
デュース
顔が真っ赤だぞ!
せめて水分補給をしてくれ!!
グリム
お前頑張り過ぎなんだゾ!!
 その言葉のとおりに一旦止まって、エースたちのところへ行く。
 エースたちの近くで止まると膝からがくんと崩れ落ちた…。
 足に力が入らない……w
 ものすごく疲れたし、心臓はバックバク、全身汗だらけ…。
バルガス先生
おお、20周走り終わったか?
あなた
@*#&$%〜+!!
エース
落ち着けって、なんて言ってのかわかんねーから!
バルガス先生
そうだな、走ってすぐは止まったらダメだ。
辺りを歩いてきたらどうだ?
あなた
+@%&#¥+>!!
デュース
まずは深呼吸をしよう。
僕に合わせて、すーっ、はーっ
 僕はデュースに合わせて呼吸を整える。
 だんだんと落ち着いてきた。
あなた
*#&%$。
 僕は立ち上がってその場で足踏みをする。
 まだ心臓は早い。
 正直意識は朦朧としてる。
 頭が空っぽだ。




ー誰でもない視点ー


 目に光がないあなたが足踏みをしていた
グリム
お前もっと限界を知ったほうが良いんだゾ。
あなた
はい、反論しません。
デュース
そうだな、そうじゃないといつか自分の身を滅ぼす。
あなた
はい、僕も気をつけます。
エース
なんかやけに素直じゃね?
それに敬語だし…。
あなた
はい、素直な僕のほうが良いですよね。
すいません。
グリム
……疲れてるからなんだゾ。
多分。
エース
んー、まあ、寝ろってことだな!
あなた
はい、寝ないとストレスをお母様に与えてしまいますからね。
ごめんなさい。
デュース
お母様?
僕たちはお前のお母様じゃないぞ?
あなた
知っています。
お母様は弟様のお母様ですから。
決して僕のお母様ではありません。
エース
うげぇ、初めて会ったときも食堂でランチしたときも思ったけど、
普通に大丈夫じゃない雰囲気してるし…。
とりあえず、あなた!!!!
オンボロ寮の寮長のお前はどこに行ったー!
あなた
…………オン、ボロ…寮?
 あなたは考えているような素振りを見せる
 足踏みをしながら
 突然表情が明るくなった


ー僕視点ー
あなた
ぐえええ…。
すごく疲れた………。
デュース
戻ったのか…?
あなた
え? 何の話?
グリム
覚えてねーんだゾ、こいつ。
あなた
いや、思い当たる節がないんですけど!?
エース
あー、もういいから先に歩けって!!
あなた
え、なんでみんなそんなに暗い顔してるのさ。
オンボロ寮のゴーストよりも怖いわ。
デュース
いつものあなただ。
グリム
この絶妙に煽ってくる感じはあなたなんだゾ。
エース
心配ばっか掛けさせやがって…。
あなた
え、だからなんの話!?
なんかやらかしたの!?
 そう、全く思い当たる節がない…
 けれども、深刻な表情をしてる。
 なんなんだ一体。
 さっきまで何も考えてなかったけど…何が起きてたんだ?
エース
気にしなくていいから、とにかく
何周もノンストップで走るって頭おかしいから!!
あなた
あ、そうだったんだ。
 みんなが深刻そうな顔をしてた理由がそれか。
 体育とかずっと見学だったからよくわかんないや。
デュース
まあ、終わったんだろう?20周。
あなた
まだ終わってない……。
エース
めっちゃ走ってたじゃん!!
あなた
まあ、終わってないのは仕方ないし、
5周なら走れるから走ってくるよ。
エース
だーめ!
そこは「走り終わりましたー」って言えばいいから!!
15周も20周も変わらねーって!
それに、腕立て伏せも残ってるんでしょ?
やめとけって!
デュース
いや、でも、そこは後ででも良いからしたほうが良いんじゃないか…?
放課後でも問題はないだろう。
あなた
いや、困ったことに放課後は時間がないんだよ…。
 明日の放課後のための食料の買い出しを…。
 ついでに魔法の練習のために学園長のところに行きたいし。
エース
ほら!
ならやっぱ終わったって言いに行こうぜ!
誰もみてねーって!
デュース
いやしかし…。
エース
バルガス先生ー!
バルガス先生
どうした?
エース
あなたが20周走ったらしいです!!
バルガス先生
そうか、よくやったな。
腕立て伏せは終わったのか?
あなた
まだ…です…。
バルガス先生
それじゃあがんばることだな。
そう、オレのような筋肉を目指すのならな。
あなた
あっはは…。
 そう言いながら歩いていった。
エース
な? 言っただろ?
案外どうにかなるもんなんだって。
デュース
お前! 勝手に!!
あなた
いや、感謝してるから良いよ。
ってことで腕立て伏せ頑張るよ。
デュース
いいのかそれで……。
あなた
まあ、エースの言う通り誰も見てないからさ。
グリム
オレ様たちは見てるんだゾ。
あなた
そういうことは言わなくていいから。
 僕は地面に寝転がって、腕立て伏せを始める。

 正直筋力は日常生活が困らない程度にしかない。
 そもそもそんなもの必要なかった。
 何かあったときのための知識と護身術以外はなにもない。
 それ以上は求めたらダメな品物だった。
エース
それにしてもあなたってさー、真面目だよね。
オレそういうの無理だわ。
あなた
……今、頑張ってる……僕に、言う??
 息を切らせながら返事をする。
 現在3回目。
 もう腕が死にそうです。
デュース
なんだかもう疲れてるな…。
グリム
頑張るんだゾ!
今まで運動してこなかったからなんだゾ!
 反論する前に、一旦寝転がる。
 つ、疲れた。
あなた
はぁ、はぁ、
運動したくても、したらダメってお母様に言われてたんだよ。
 傷が体操服によって見えないようにするために。
グリム
また”お母様”なんだゾ。
エース
ほんと、大変なご家庭のようで…。
まあ、今から取り戻していけばいいと思うけど。
デュース
毎日少し走るだけでも違うから試してみるといいぞ。
あなた
善処するよ。
よいしょっと。
 僕は5回ずつ休憩を挟んで腕立て伏せをする。
 そうすれば、さっきみたいに疲れることはないだろう。


数分後
あなた
終わった〜〜!!!!
デュース
つかれてるな。
水飲むか?
あなた
もらってもいいの?
それデュースのやつでしょ。
デュース
グリムから聞いたけど飲み物を持ってきてないみたいだったからな。
問題ない。
あなた
じゃあ、少しだけ。
 僕は一口だけもらった。
あなた
!?!?
デュース
今度はどうした!?
まさか水アレルギーだったのか?!
あなた
違う違う水アレルギーだったらこんな汗かいてちゃダメでしょ。
運動後の水っていつもの水の何杯も美味しいんだな。
デュース
なんだ、びっくりした。
でも、僕もその気持ちわかるぞ。
あなた
あれ? グリムとエースは?
デュース
ああ、二人ならあそこで…
 二人はクラスメイトと一緒に箒でおにごをしてた。
 といってもそこまで速度は早くないが。
 グリムもさっきと比べて上手に飛べるようになってるみたいだ。
あなた
デュースは行かないの?
デュース
僕は、あなたが何かあったら心配だったから終わってから参加する予定だった。
あなた
そうなんだ。ありがとうニコッ
デュース
……//
 だからたまにするその表情は何なんだ!
 どうして顔を赤くする!?
 はああ、とりあえず、バルガス先生に報告行くか。
あなた
バルガス先生ー。
バルガス先生
あなたか。どうした?
あなた
腕立て伏せ終わりました!
バルガス先生
そうか。
それなら自由時間にしていいぞ。
よく頑張ったな。毎日するといい。
あなた
あっはは…善処します。
 やっぱ鬼畜だ先生。
デュース
あなたも参加するのか?
あなた
うん。どうせボケーッとしてたって楽しくないでしょ?
デュース
それもそうだな。
行くか。
 僕は箒に乗ってふわりと浮かぶ。
 デュースはまだぎこちないけど箒で浮かぶ。
 そして、エースたちが居る上空へと向かった。
あなた
おーい、エース!
僕らも参加しても良い?
エース
勿論!
鬼はあの前髪をくくってるやつで、鬼の目印。
ルールは簡単でタッチされたら鬼の交代!
鬼は3人ね。
 ははは、ここにハゲという文化がなくてよかったな。
 ちょんまげっていうのもなさそう。
デュース
おっしゃ、誰にも負けねぇ!!
あなた
僕だって、捕まんない!
数分後

 ということで、おにごをしていた。
 なんなんだこの授業。
 最初だから緩いみたいな感じなのか??
グリム
大人しく捕まるんだゾ!!
子分!!!
あなた
やーだね!!
デュース
あなた!
そっちに鬼が行ったぞ!!
クラスメイト
来たっ!
これで!!
あなた
やばっ、急降下!!
 魔法を一旦解除した。箒は落ちる。
クラスメイト
うわっ!?
落ちた!?
あなた
運動で負けても魔法では負けない!!
 地面スレスレで魔法を発動させる。
 もう慣れてきた。飛行術に限るけれども。
 そして、また上昇してうまいこと鬼を避ける。
バルガス先生
よし、全員走り終わったな。
それに鐘もなった。
お前達、授業は終わった!
もっと鍛え上げてやるからな。
エース
はー、マジ疲れた…。
あなた、箒に慣れすぎでしょ!?
魔法使えるようになったの昨日じゃなかったけ?
あなた
うん。
間違ってはないけど、僕自身でもびっくりしてる。
 飛行術でもう誰にも負けない。
 そう、僕は”一番”でないといけないから。
デュース
箒ってどうするんだろうな…?
エース
この箒3年間使うらしい…けど、
話聞いてなかったっしょ?
デュース
うう、実は飛ぶのに必死で…。
あなた
僕は高く飛びすぎて…。
グリム
ってことは……
どうするんだゾ?
あなた
あれじゃない?
小さくして持っとくとか、部屋に持って帰るとか?
バルガス先生
そうだな、それを言うのを忘れていたな。
デュース
先生!?
エース
うわっびっくりした…。
グリム
後ろから急に来るんじゃないゾ…。
あなた
心臓止まるかと思った。
バルガス先生
箒は更衣室に置いていっても、小さくするなりして自分で持っていても良い。
ただ、3年間使うから大事に扱えよ。
デュース
はいっ!!
わかりました!!
 バルガス先生はそれだけ告げるとグラウンドで一人筋トレを始めた。
 次の授業があると思う。
エース
よーし、後は着替えて帰りのHRだけっと!
あなた
ぐぇえ…。
かなり疲れた……。
このままオンボロ寮に帰りたい…。
デュース
後少しの辛抱だ頑張ろう。
グリム
オレ様もお腹空いたんだゾ。
 僕たちは着替えながらそんな会話をする。
 本当に疲れたな……。
 明日は筋肉痛になってそうな勢いだな……。


 制服に着替えて教室へと戻る。





HRが終わり…(小説の力)
エース
そういや、あなたって放課後何の用事あんの?
あなた
学園長室と買い出しかな。
デュース
大変そうだな。
エース
じゃあ、俺らはここらでー!
 まって、今日こそつまみ食いをするかもしれない…!
あなた
そうだ、2人とも!
エース
ん、なに?
デュース
どうした?
あなた
ハートの女王の法律の中に、
『女王の許しなしにタルトを先に食べてはならない』
っていうやつがあるから、気をつけて!
エース
うげぇ、そんなのあんの!?
てかなんでオレらに!?
あなた
なんかつまみ食いしそうだったから。
デュース
エースはともかく、僕はない!
エース
ちょっ、お前それどういう意味!
あなた
落ち着いて…とりあえず、ハートの女王の法律に
従ってる寮だからある程度目を通しとくだけでもしといたほうが良いよ。
デュース
まあ、それもそうだな。
帰ったら読んでみよう。
エース
うげぇ、オレ、真面目くんに囲まれてる…。
グリム
お前もちょっとくらい真面目になったらいいんだゾ。
エース
それはお互い様な!?
あなた
そうだ、グリム。
エースたちと遊んできたら?
僕と一緒にいても多分、学園長の話をつらつらと聞くだけになっちゃいそうだし…。
グリム
ふなっ!?
それは嫌なんだゾ!
オレ様、エース達と遊ぶんだゾ!!
あなた
あと、そうだ、いいこと思いついた…。
ちょっとまってて…。
 僕はとあることを思いついた。
 ふっふっふ…。
 これで成功すれば、きっと忘れ物をしても強い。


 僕はマジカルペンを手にとって、イメージする。
 そう、とても強く、成功させるために。
 僕の部屋の中の机の上にある、ハートの女王の法律の本を想像する。
 うん。完璧に思い出せた。
 それをここに瞬間移動させれば……。
エース
何してんの?
あなた
それっ!
ポンッ!!

 という音がなって、目の前に本が現れる。
 うん。メモが挟まったままだから僕の部屋にあったやつだ。
 それをエースに渡す。
あなた
今、僕が借りてるやつだけど、
これでよかったら…。
デュース
……!!!!
今のどうやってやったんだ!?
エース
かっけー!!
あなた
なんか、イメージで…ヒュンと。
エース
こういうのを天才って言うんだろうなー。
ほんっと羨ましいわ。
あなた
帰りはグリムに持って帰らせてね。
デュース
わかった。
ありがとう。
あなた
じゃ、また明日ー!
 僕は学園長室へと向かう。
 魔法の特訓へ…。
あなた
学園長!
失礼します!
学園長
あなたくんじゃありませんか!
かわりありませんねえ。
ところでどうしたんですか?
あなた
えっと、僕魔法の練習をしたいなって思って来たんですけど、
色々使えるようになりました!
学園長
ほほう、それは興味深い。
ぜひ教えてください。
あなた
まず、物質を軽くする魔法と重くする魔法。
小さな炎を出す魔法と全方向の吸収型防衛魔法。
箒に乗って飛ぶ魔法とものを瞬間移動みたいな感じで転移させる魔法です。
学園長
初歩的なものから一流の魔法師でも難しいものまで…。
特に全方向の吸収型防衛魔法って初めて聞きましたよ!?
瞬間移動系の魔法は複雑なのでとても難しいのです!
どうやってそんな魔法を覚えたんですか?
あなた
全部、想像です。
学園長
…………はあ。
まあ、とりあえず、炎でオンボロ寮が焦げたという報告が
無いということではコントロールは出来るようになってきたようですね。
あなた
はい、米粒サイズの炎を想像したらいい感じにパンが炙れる
くらいの大きさの炎になりました。
学園長
米粒!?
はあ、もう、私、何も言いません。
あなた
あと、思ったんですけど、僕って、想像力が強すぎるがために
魔法の強さや大きさも強いんだと思います…。
学園長
確かに魔法はイマジネーションが必要で重要です。
それなら納得はいきますね。
ということはドラコニアくんのようなものでは無いということですか…。
あなた
その、ドラコニア先輩のようなものって一体何なんですか?
学園長
まあ、簡単に言えば、先天性というか家庭の事情やらなどで
幼い頃から魔法をよく使うので、魔法がそれに比例して
効果や大きさが拡大しているみたいなものです。
あなた
じゃあ、想像力が強いわけじゃないんですね!
学園長
まあ、あとドラコニアくんなら…。
国自体が魔法で動いているようなものだからですね。
あなた
あ、そうだ、話がそれてます!
学園長
いや!?
話をそらしたのはあなたくんでしたよね!?
あなた
魔法練習出来る場所ってここですか?
学園長
ゴッホン
違います。
なら…そうですね、オンボロ寮までの道にある森へ行きましょうか。
あなた
はーい!
 学園長は歩き始めた。
 と思ったら振り向いて手を出してきた。
学園長
歩くのも面倒くさいでしょう?
私が、瞬間移動魔法であそこまで移動します!
生徒に心遣いができる私、
ああ、なんて優しいんでしょう!
あなた
あっはは…。
 僕は手を差し出して学園長と一緒に光りに包まれる。






ーーーーー

 リクエストなど受け付けてたりします!!
 コメントやハートいつもありがとうございます!!
 いつも読んでくださる皆様には感謝です!!
 ありがとうございます。
 そして、これからも本作をよろしくおねがいします。

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