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第1話

『 雪に願いを 』
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2019/05/25 21:11
『雪に願いを』

☆1☆








「…やっぱり……_____________



















____________……淋しいな…」












☆2☆







終電の波を抜け、ひとり家路を行く。。。







同僚を誘って、はしご酒って…
俺も、正式なオッサン道を歩いてんなぁ〜








今日は、ひとりにはなりたく無くて…


まぁ そんな俺の心境なんて、同僚は知らんけど。






アパートに近付くにつれ、街灯も少なくなっていき、、、


俺の ひとりだけの足音が、余計に響いていく感覚だ。














_____




〇「この中、、、暖かい!スゴイね!」




と、、、


俺のポケットに、魔法がかかってるかの様に話す君。


その魔法のポケットには、いつも君の左手があった。




_____







冷えて張り詰めた空気が痛くて…


俺は、カラのポケットへ両手を突っ込んだ。







☆3☆





落ちた心。




自然と下がる視線。




交互に見える…
アスファルトを蹴る革靴。。。






前に進めてるのかも分からないくらい…

意識があるのかも分からないくらい…








僕は…





君がいない冬を、どうやり過ごせば良いのか…








大げさじゃなくて、、、









生きてる心地がしないんだ。。。








☆4☆





ポストを覗いて、DM系の紙を鷲掴みする。




確認するのは、君の名前だけ。




誤配送を期待してるなんてな、、、







_____




〇「転勤になったの…」




君が打ち明けたのは、、、


俺たちが、些細な事でケンカしていて、
まだ…仲直りの一歩が踏み出せないでいた時だった。





〇「…いい機会かなって思うの。」




俺は…
仲直りの方法を考えていたのに…




君は…
別れを選んだんだ。。。




_____





どうして別れてしまったのだろう。



ほんの、、、些細なケンカだったのに…



そんなケンカさえも乗り越えて行けるんだと…


思ってたふたりだったのに…








コンッコンッコンッ、、、

深夜の静寂に足音を響かせながら、アパートの外階段を登り始めると…






チラリと、、、雪が舞い降りてきた。





☆5☆





はぁぁぁっっ、、、雪か。…


溜息は白く…
凍りついて、、、消えた。




コートのポケットから鍵を取り出し、顔を上げた時…




ドアに袋が、掛かってる。

なんだアレ??







初めての事に、恐る恐る近寄ってみる。







なんだか大人な雰囲気の小さめの紙袋には、プレゼント用に包装され、綺麗なリボンを掛けられた箱。





それと…
すぐ側にあるコンビニの袋には…





中華まんが2つ。





コレまだ、、、














温かいやんッ!!!





俺は、来た道を引き返し、大通りまで走っていた!





直感でしかない。




君が居るのは、、、あそこや!






頼む!!!
間に合ってくれッ!!!








舞い落ちる雪は、粒の大きさを増していき、、、





走る俺の頬で溶けていった。







☆6☆




たくさん後悔したんだ。

これからの毎日に君がいないこと。

君の誕生日を祝えないこと。

魔法のポケットに君の手が無いこと。

中華まんを2つ買えないこと。







数え切れない後悔の後には必ず…思い知る。








こんなにも、、、




こんなにも、、、













愛しているんだと。。。
















濵「〇〇ーーーーーッ!!!」








はっ!っと俺に気付くと、タクシーを止めようとしていた手が降りた。






俺の勢いに、後ずさりする腕を引き寄せ…












君を、、、抱きしめていた。









濵「…アホ……帰ろうとすんなよ…」






「ううっ」て堪えるように泣きながら、そんな冷えた身体で、強く抱きしめ返されたら、、、






もおダメや…愛おしさが…止まらん!!!






☆7☆



〇「だって…怖くなっちゃったんだもん!……もし崇裕が…他の女の子と一緒に帰って来たりしたら…って考えちゃったら、待ってられなかった。…」







〇「そしたら…雪が願いを叶えてくれた!」







俺の胸から顔を上げ涙目で笑う君は、トナカイみたいに赤くなった鼻が可愛らしくて…







濵「俺の願いも、雪が叶えてくれた!」












来年の誕生日も、、、雪だとええな。。。














その夜は、、、
離れていた、ふたりの時間を埋めるかのように…





ふたりの、冷えきった身体を暖め合いながら…







君に伝えた。










“ こんなにも こんなにも ”





“ 愛しています ”











と、、、。








☆ fin. ☆



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