翔太side
部活も終わり、更衣室で佐久間にLINEを送った。
佐久間はアニメオタクでクラスのムードメーカー。俺の恋愛相談をよく聞いてくれる。
LINEで遊びに行っていいか聞いたらOKを貰ったので今から佐久間ん家に向かう。
佐久間の家に着いてチャイムを押すと、佐久間のお母さんが出てきた。
佐久間ママ「あらっ、翔太くんいらっしゃい!」
翔太「こんばんはー。お邪魔します。」
俺は笑顔で挨拶をし、佐久間の部屋へ向かった。
ノックをして、「入っていいよー」って声がかかったら入る。
佐久間の家に行く時はいつもこんな感じだ。
翔太「お邪魔します。急に悪いな。」
大介「全然いいよー。とりあえずゲームしようぜー!」
佐久間の部屋はたくさんのアニメグッズやらフィギュアやらいろんな物が置いてある。
まぁもう慣れてるけど。
佐久間と一緒にゲームをしながら、相談に乗ってもらった。
大介「ほう、つまり休み時間に体操着姿のそのー、あなたちゃん?を見れてしかも放課後にも会えたわけか。ラッキーイベントだなぁ。」
翔太「そう。なんか部屋着とか制服とか私服とかそういうのは見たことあったんだけど、体操着の姿ってなんか新鮮で。その……キュンとしちゃって。」
画面を見ながらカチカチとコントローラーを弄り、思い出しただけで顔が赤くなる。
大介「あー翔太!手ぇ止まってる!」
手を止めてしまい、佐久間の勝利。
佐久間はゲームも強くてなかなか勝てない。
すると佐久間はポテチを一口食べて、話し始めた。
大介「そのあなたちゃんって子どんな子か会ってみたいなぁ。」
それを聞いて俺はすぐ佐久間を睨んだ。
翔太「佐久間お前……」
大介「えっ違う違う!そういうんじゃなくて、翔太が気になってる子がどんなのか知りたいだけだよ!!」
と全力で否定する佐久間。
なんだそういうことか。
まぁ佐久間なら会っても問題なさそうだなぁ。
だってこいつ………
大介「はぁ今日も嫁は可愛い!!」
嫁(2次元)にしか興味ないし。
その後もゲームなどをしながら恋愛相談を聞いてもらい、気づいたら大分遅くなっていた。
そろそら帰ろうと荷物をまとめ、玄関に向かった。
大介「送ってかなくて大丈夫か?」
と心配そうに言う佐久間。
俺はお前の彼女か。
翔太「大丈夫。駅まですぐそこだし。」
大介「そっか。じゃあまた明日な!気をつけて帰れよー!」
佐久間が手を振って来たので、俺も振り返した。
春でも外は少し寒くて、俺はポッケに手を入れて歩いた。
翔太「さっむ……。」
空を見上げると、満月が綺麗に顔を出していた。
翔太「綺麗だなぁ。」
そう呟いて、俺はゆっくり駅まで歩いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!